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親子で乗り越える医学部受験 日経オンラインブログ 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 K-method開発者 木原俊壱 OFFICIAL WEBSITE 京都脊椎脊髄外科・眼科病院


★『FRIDAY(フライデー)』の「最新治療の名医たち」の特集ページにて紹介されます!
講談社出版(2013年11月15日発売予定)
『FRIDAY(フライデー)』11月29日号

★ドキュメンタリー番組「CROSS ROAD」~人生の重大な分岐点~で木原院長の特集番組放送
テレビ東京 ドキュメンタリー番組「CROSS ROAD」~人生の重大な分岐点~
(11月16日 土曜日 夜10時30分放送<30分間番組>)で木原院長の特集番組が放送されます。
詳しくは番組ホームページをご覧ください。

  1. 「自分が正解できるパターン」を自己分析して戦略を立てる
  2. 「美しい手術」を行う「かっこいい」医師でありたい
  3. 自分の技術に自信があれば、出身大学名は関係ない
  4. 受験勉強では我流に陥らず、プロの指導を信じることが大切になる

──「自分が正解できるパターン」を自己分析して戦略を立てる

写真1

松原 木原先生と私は、息子同士が同じ中高一貫校の野球部の先輩・後輩で、試合の応援などを通じて話をさせていただく機会を得ました。その中で、脊椎脊髄治療の第一人者であるにもかかわらず、医学部入学までには紆余曲折もあったことを知りました。悩み多き受験時代を過ごしている生徒たちにとって、とても参考になる話が聞けると期待しています。確か、当初は映画監督をめざされていたのですね。

木原 ええ。高校生の頃、大森一樹監督などが活躍していた時代で、自分の感性を表現するクリエイティブな作品を作って、世の中に発信したいという夢を抱いていました。そのため、日本大学芸術学部映画学科を第一志望にしていたのですが、合格することができず、3年間の浪人生活を送りました。両親からは「夢を追い続けるのはかまわないが、親が面倒を見るのは3浪まで。それ以降は自分で働いて、自己責任でめざしなさい」と厳命されました。3浪させてくれただけでもありがたいことでしたが、働きながら映画監督をめざすとなると、ある程度、短い時間で生活できる収入を得られる仕事に就く必要があります。そんな仕事は何かと考えていたとき、予備校の友人から「医師になれば、週1回アルバイトするだけで生活できるのではないか。そうすれば、映画監督を同時にめざせる」といわれたのです。何ともいいかげんなアドバイスですが(笑)、そのときの私は安易に納得して、入試直前になって医学部も受験することに決めました。結局、本命の日大芸術学部は不合格だったのですが、佐賀医科大学(現・佐賀大学医学部)に合格し、そのまま入学することにしました。

松原 佐賀医科大学を受験校に選んだ理由は何ですか。

木原 医師になってお金を稼いで映画監督になることが目標ですから(笑)、どの大学でなければならないというこだわりはありません。とにかく合格できる大学を探そうと考えました。何よりも問題だったのは、短期間では2次対策まで手が回らないことです。そこで、共通1次(現・センター試験)の配点が高い大学を選ぶことにしました。佐賀医科大学の2次試験は面接と小論文だけだったので、共通1次で頑張れば何とかなると思ったのです。

松原 とはいえ、短期間で共通1次の得点力を高めるのも大変だと思いますが、何か勉強法で工夫されたことはありますか。

木原 「20日間で共通1次対策を完成させる」といった内容の問題集を購入して、約1カ月間、その問題集だけに集中して取り組みました。とくに意識したのは、自分なりの時間配分の戦略を構築することです。共通1次では短時間でどれだけ多くの問題を正解するかがカギを握ります。本番で無駄に時間を費やさないことが重要なポイントになるわけです。たとえば2つの選択肢で迷ったとき、私は「最初に直観した解答」の方が、「後から思い直して、迷った解答」よりも正解のケースが多かったので、本番では直感にしたがうことに決めていました。

松原 なるほど。「自分が正解できるパターン」を自己分析したわけですね。

木原 そうです。そのほかに「時間をかけても正解に結びつかない問題」と「考えれば正解が分かる問題」も仕分けしました。本番で前者のタイプの問題が出たら、ある意味では捨ててしまい、山勘でとりあえず解答を選ぶだけにして、その分、じっくり考えれば正解できる問題に時間をかけるようにしました。こうした戦略によって、1000点満点で880点の得点をあげることができました。

松原 大いに参考になる方法です。共通1次の導入以降、入試問題の要素は激変しました。何時間も考え抜いて、自力で正解に到達する“美学”が失われ、素早く処理する力が問われる時代になっています。とくに共通1次、センター試験ではその傾向が強く、素晴らしい戦略だと思います。

──「美しい手術」を行う「かっこいい」医師でありたい

写真1

松原 脳神経外科の道に進まれたわけですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

木原 5年生になってポリクリ(臨床実習)が始まると、様々な臨床現場の実態が見えてきます。私が最も「かっこいい」と思ったのが救急医療の現場です。生命の危機に瀕している患者さんのもとに、さっそうと現れた医師が蘇生を施す姿を見て、あこがれの気持ちを抱いたのです。救急医療の最前線は脳神経外科、もくしは心臓外科ですから、私は脳神経外科を選択することにしました。単純な動機であまり参考にならないかもしれませんが……(笑)。

松原 そんなことはありません。いつの時代も「かっこよさ」を追求しようというのは大きなモチベーションになります。とくに男子はナルシストが多く、異性に認められようとすることなども、成長のきっかけになるはずです。ところで、大学入学後は、映画監督をめざそうという思いはなくなっていったのですか。

木原 いちおう6年間、自分でシナリオを書いて監督した映画を学園祭で上演しました。それなりに評価され、チケット収入も得られたのですが、いわば学園祭レベルの作品であり、自分自身では満足できるものではありませんでした。

松原 ただ、外科医の仕事に芸術的なセンスが生かされている面もあるのではないですか。手術はある種の芸術作品の側面もある気がしますが……。

木原 それはありますね。他の医師には真似のできない、オリジナルの手術をしたいという思いは持っています。

松原 ある医師から、人体は美しいものであり、その人体に執刀する手術も美しいものでなければならないという話を聞いたことがあります。

木原 同感です。手術後の傷の様子だけではなく、手術中の所作も含めて、「美しい手術」をすることが私の理想です。そうした意識を持っているのも、映画監督をめざしていたことが影響しているのかもしれません。

松原 近年、医学部をめざす若者が急増しており、いわば医学部ブームのような状況になっています。この風潮をどのように感じていらっしゃいますか。

木原 個人的には大歓迎です。とくに外科医はまだ不足しているのが実状で、実力を養って、困っている患者さんを救いたいと思う志を持った若い外科医が育ってくれることを期待しています。そのためには外科医の世界に夢を与えることが重要です。夢がなければ、もっと楽な方法でお金を稼いだ方がいいということになってしまうからです。お金はもちろん大切ですが、医療の世界にはお金には代えられないものもあるということを知ってほしいですね。

松原 外科医は他の診療科以上に体力、集中力が要求されますから、敬遠されているのかもしれませんね。

木原 オンとオフの使い分けができれば、まったく問題はありません。日本人は、1日中病院に拘束されて、多忙をきわめている医師を高く評価する傾向がありますが、それでは苦労するイメージばかりが強くなり、後に続く後輩が育たないでしょう。ですから私は、絶対に疲れた表情を見せず、どんなに大変な手術でも淡々とこなしている姿を、後輩たちに見せつけたいと考えています。かっこいい医師像を体現し、そういう外科医になりたいという夢を与えることが、私の大きな目標です。

松原 脳神経外科の道に進まれたわけですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

木原 5年生になってポリクリ(臨床実習)が始まると、様々な臨床現場の実態が見えてきます。私が最も「かっこいい」と思ったのが救急医療の現場です。生命の危機に瀕している患者さんのもとに、さっそうと現れた医師が蘇生を施す姿を見て、あこがれの気持ちを抱いたのです。救急医療の最前線は脳神経外科、もくしは心臓外科ですから、私は脳神経外科を選択することにしました。単純な動機であまり参考にならないかもしれませんが……(笑)。

松原 そんなことはありません。いつの時代も「かっこよさ」を追求しようというのは大きなモチベーションになります。とくに男子はナルシストが多く、異性に認められようとすることなども、成長のきっかけになるはずです。ところで、大学入学後は、映画監督をめざそうという思いはなくなっていったのですか。

木原 いちおう6年間、自分でシナリオを書いて監督した映画を学園祭で上演しました。それなりに評価され、チケット収入も得られたのですが、いわば学園祭レベルの作品であり、自分自身では満足できるものではありませんでした。

松原 ただ、外科医の仕事に芸術的なセンスが生かされている面もあるのではないですか。手術はある種の芸術作品の側面もある気がしますが……。

木原 それはありますね。他の医師には真似のできない、オリジナルの手術をしたいという思いは持っています。

松原 ある医師から、人体は美しいものであり、その人体に執刀する手術も美しいものでなければならないという話を聞いたことがあります。

木原 同感です。手術後の傷の様子だけではなく、手術中の所作も含めて、「美しい手術」をすることが私の理想です。そうした意識を持っているのも、映画監督をめざしていたことが影響しているのかもしれません。

松原 近年、医学部をめざす若者が急増しており、いわば医学部ブームのような状況になっています。この風潮をどのように感じていらっしゃいますか。

木原 個人的には大歓迎です。とくに外科医はまだ不足しているのが実状で、実力を養って、困っている患者さんを救いたいと思う志を持った若い外科医が育ってくれることを期待しています。そのためには外科医の世界に夢を与えることが重要です。夢がなければ、もっと楽な方法でお金を稼いだ方がいいということになってしまうからです。お金はもちろん大切ですが、医療の世界にはお金には代えられないものもあるということを知ってほしいですね。

松原 外科医は他の診療科以上に体力、集中力が要求されますから、敬遠されているのかもしれませんね。

木原 オンとオフの使い分けができれば、まったく問題はありません。日本人は、1日中病院に拘束されて、多忙をきわめている医師を高く評価する傾向がありますが、それでは苦労するイメージばかりが強くなり、後に続く後輩が育たないでしょう。ですから私は、絶対に疲れた表情を見せず、どんなに大変な手術でも淡々とこなしている姿を、後輩たちに見せつけたいと考えています。かっこいい医師像を体現し、そういう外科医になりたいという夢を与えることが、私の大きな目標です。

──自分の技術に自信があれば、出身大学名は関係ない

木原 私の長男は現在、医学部をめざして浪人中ですが、彼によくアドバイスするのは、医師をめざすのなら、大学のブランド名にこだわる必要はないということです。

松原 これまでの経験の中で、ハンデの存在を感じられたことはありませんか。

木原 以前在籍していた大津市民病院は、京大の関連病院で、京大の医局から派遣された医師しかポストがないのが伝統でした。そのため、私は最初の1年間は無給の待遇で勤務しました。「1年後には相応の給与に値する医師だと認められるようになるから」と妻を説得したのですが、楽天家の妻はその言葉を信じて、まったく反対しませんでした(笑)。私にはそれだけの自信もありました。アメリカ留学中の35歳のとき、K-methodを開発し、人体模型や動物を使った手術の経験を積んでいたからです。後は人体の手術例を増やして、経験を蓄積することが重要でした。そのためには、都会の大規模な病院に勤務する方がメリットがあると考えたのです。当初はなかなか患者さんがきてくれませんでしたが、当時の多くの脊椎脊髄手術が、手術後1週間は点滴だけでベッドで過ごさないといけないのに対して、私の患者さんは高齢者でも手術の翌日から歩き回ることができます。その様子が口コミで広がり、どんどん依頼が増えていき、半年後には病院内で最も多くの患者さんを抱える状態になりました。他の病院で見放された人でも、私の技術があれば救えるという自負を持っており、それがやりがいにつながっています。すでに、手術例は5000件を超えており、今後は自ら手術を務めるだけでなく、若い後継者を育成し、彼らが活躍できるような環境を整える仕事にも力を入れたいと考えています。

松原 今の話をうかがっていて感銘を受けたのは、先生は仕事の上においても、目標を達成するために、常に戦略性を持って臨まれているということです。戦略が先生の生き方の指針になっているような気がしますね。

──受験勉強では我流に陥らず、プロの指導を信じることが大切になる

松原 最後に保護者へのアドバイスをお願いします。

木原 私自身、浪人中の医学部志望の子どもを抱えていますから、アドバイスする立場にはないのですが……。それに妻は子どもに常々「おとうさんも3浪しているのだから、気楽ね」といっています。別に親と同じ失敗をしなくてもいいのですが(笑)、のんびり構えています。

松原 実はそれが大切なことなのです。家庭環境がぎすぎすしていると、子どもは精神的に追い込まれてしまいます。少し楽観的なぐらいでちょうどいいと思います。

木原 ウチの場合は危機感がなさすぎる気もします(笑)。ただ、受験勉強に関しては、家庭でできることには限りがあり、プロの指導を信じて、任せる方がいいでしょう。それがわが家の基本的なスタンスです。

松原 確かに、指導していて困るのは、我流のやり方にこだわる生徒です。けっして効率的な勉強法ではありませんから、結局うまくいかないからです。私たちは、どうすれば合格できる力が身につくのかを“逆算”して、最も適切なやり方を蓄積してきています。一人ひとりに合った戦略もアドバイスします。それを信じることが合格への近道だと確信しています。

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