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医学部入試情報

2017.04.18

【データで読み解く医学部入試(1)】医学部入試の現状

18歳人口が減少に向かっている中、依然として高い人気を集めているのが医学部だ。私立大学医学部の志願倍率は20倍、30倍が普通で、60倍、70倍という大学も見られる。受験生の学力レベルも高く、他の学部では十分合格圏内という受験生でも、医学部には合格できないというケースが珍しくない。このように激戦が続く医学部に合格するためには、入試情報をいち早く入手するとともに、さまざまなデータを正しく的確に分析することが欠かせない。そして、何より志望校をできるだけ早く絞り込み、合格に向けた受験対策をスタートさせることが重要だ。ここでは、毎年、数多くの医学部合格者を輩出している代々木ゼミナール入試情報部の加藤広行部長に、国公立・私立それぞれの医学部入試の仕組み、データの活用法、合格のための対策などを語っていただいた。

※本文中の入試データはいずれも代々木ゼミナール提供

PART1 医学部入試の現状

定員増をはるかに超える医学部志望者。難化傾向は依然として継続

 医師不足、とりわけ地域の医師確保等の観点から、近年、医学部の定員は増え続けている。2016年度の医学部の定員は9,262名で、9年前の2007年度と比べると1,637名、21.5%も増加しているのだ。医学部の定員は通常90~110名位なので、これは20校近くの医学部が新設されたことに相当する<グラフ1>。2016年度には東北医科薬科大(旧:東北薬科大)が琉球大以来、実に37年ぶりに医学部を新設。続いて2017年度には国際医療福祉大に医学部が新設され、2年続けて新しい医学部が誕生するというエポックメイキングな出来事もあった。国際医療福祉大は千葉県成田市と首都圏に新設されたうえ、学費も6年間で1,850万円と私立大医学部のなかでは最も安く設定されている(特待奨学生になれば710万円で済む)。

 このように定員は増えているのに、医学部入試が難化しているのはなぜなのか。<グラフ2>に示した通り、医学部志願者が定員増をはるかに超えて増加しているからだ。<グラフ3~4>に掲げた国公立大・私立大の志願者数の推移を見ても、医学部志願者がいかに増え、激戦入試となっているかがわかるだろう。

 だが、医学部志望者が急増し難度も高まったことで、敬遠傾向が生まれ、近年、若干ではあるが志願者が減少してきた。2017年度入試でも、国公立大医学部の志願者指数(前年度を100とした時の数値)は前年比98.6と1.4ポイント減、私立大は現時点の判明分で102.0と前年より増加しているものの、これは新設の国際医療福祉大を含んだ数値で、同大学を除けば97.0と国公立大より減少幅は大きくなっている。

 「とは言え、医学部入試が易しくなったと思うのは早計です」。

 加藤部長は、受験生にこう注意を促す。

 「これまでは、医学部の合格が難しかった受験者層も多少無理してチャレンジしていた。しかし、医学部の人気が高まり難度も上昇したことで、こうした下位層の受験生が医学部から薬学部や理学部などに乗り換える傾向が見られるようになり、その影響で志願者が減少に転じてきたのです。つまり、初めから医学部を強く志望する上位層の受験生の医学部志向は変わっておらず、志願者数や難度は高止まりしたと考えるべきです」。

 医学部の志願者が減少したといっても、決して合格しやすくなったわけではないということだ。

国公立大中心に増える地域枠は狙い目!?

 近年、国公立大を中心に増えているのが「地域枠」だ。一般入試や推薦入試において、卒業後の一定期間、大学やその地域が指定する病院や診療所などで勤務することを条件に、学費を全額免除したり、奨学金の返還を免除したりする制度で、地域医療を担う医師の育成を狙いとしたものだ。現在は国公立大の約2割、私立大の約1割が実施している<グラフ5>

 加藤部長は「地域医療に貢献したい、地元で医師として働きたいという受験生にとっては、一般入試より狙い目のケースもある」と語る。

 というのも、地域枠入試は、出願条件を地元出身の受験者や現役生に限るというところが多い。そのため、全国からライバルが集まり、学力の高い浪人生も受験する一般入試に比べると倍率は低く、合格率も高まる傾向があるからだ<グラフ6>。例えば、2016年度入試における山梨大医学部の一般入試の志願倍率は13.5倍で、合格率は8.9%にとどまっている。一方、推薦地域枠の志願倍率は2.7倍ときわめて低く、合格率も36.5%と一般入試より大幅に高くなっている。

 「ただし、全国から出願できるタイプの地域枠入試も実施されており、大学によっては多くの志願者が集まるところもあるので注意が必要です。また、面接や志望理由などでは地域医療の現状をどれほど理解しているか、地域医療に貢献するという強い思いがあるか、といったことを問われるので、単に合格しやすいからといった軽い気持ちで受けることは避けるべきです」。



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