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2017.05.26

【データで読み解く医学部入試(4)】志望校選びのポイント

PART4 入試データの注目ポイント

配点ウエイトと合格最低ラインに注目しよう!

 入試データというと、どうしても「志願倍率」や「競争率(実質倍率)」に目が行きがちだ。だが、加藤部長は、それよりも入試データを見る際に最も注目すべきは「配点ウエイト」と「合格最低ライン(ボーダーライン)」だという。

 「国公立大で言えばセンター試験・2次試験のどちらの配点が高いか、センター試験は通常配点なのか、2次試験の各科目は均等配点なのか、特定科目の配点が高いのかといった点に注目しましょう。例えば、滋賀医科大ではセンター試験の国語の配点が200点と他数科(各100点)より高くなっている。そのため、平均点の変動が志願者数に影響することがあります。私立大でも、先ほど2科目必須の理科の配点ウエイトが高いと述べましたが、大学や方式によっては英語の配点を高くしているところもあります。配点ウエイトは、自分がマークシート方式のセンター試験で高得点を狙うのか、記述式の2次試験を重視の大学を受けられるのか、あるいは大学が重視する科目が得意で、高得点が望めるのか、といったように大学との相性を見て、志望校を選ぶ目安になります。

 一方、合格最低ラインに注目すべきなのは、志望校合格のためには6割得点できればいいのか、それとも7割以上必要なのか、といった目標数値が具体的にわかるからです。入試にはサッカーのようにアディショナルタイムはなく、制限時間内で求められている点数を取らなければならない。志望校対策では、そのための練習を繰り返すことが大切なのです。そして、過去にどのような問題が出ているのか、問題に大きな変化があった年はあるのか、といったことは予備校の情報力を大いに活用して頂きたいと思います」。

 もちろん、志願倍率や実質倍率も年度ごとの志願者の変動を見て、志望校を選ぶのに役立つ。

 「医学部でも他学部同様、前年度に志願者が急増したところは翌年は減少する、その逆に、志願者減となった大学は増加するという『隔年現象』が見られるケースは少なくありません。これを逆手にとって出願するという手もあるでしょう」。


PART5 志望校選びのポイント

国公立大は地理的条件、大学や入試の特性などを考えて絞り込む

 では、これまで述べてきた国公立大・私立大それぞれの入試の特徴を踏まえて、どのような点を重視しながら、志望校を選んでいけばよいのだろう。

 「国公立大は学費についてはほぼ同一なので、まず自宅から通うのか、それとも自宅を出てもよいのか、という地理的条件を考慮すべきでしょう。

 次に、先ほど述べた入試の特徴、すなわち2次試験重視なのか、センター試験重視なのか、特定科目の配点が高いのか、といったことを調べて、自分にはどの大学が適しているかを考える。問題の中身、すなわち出題傾向を見ておくことも重要です。総合大学では他学部と同じ問題で、それほど医学に特化した出題がなされないところも多いですが、規模の小さい大学や単科大学では、英語や理科などで医療関連の問題が出題されやすい傾向があります。過去問を分析し、例年、どのような出題がなされているのかを把握し、自分の実力が発揮しやすい大学はどこなのか、逆に自分が不利となることがないか検討してみることをお勧めします。

 さらに、大学自体の特性も重要な項目です。地域医療に力を入れているのか、最先端の医療研究が進んでいるのか、世界の医学の発展に寄与することをめざしているのかなど、大学がどの分野に力を入れているのか、それが自分の目標と合致しているかを考えましょう。高名な先生がいるからその大学に行きたいというのも、立派な志望理由です。

 こうした地理的条件、入試の特徴、大学の特性を調べ、それに自分との相性を考え合わせて、できるだけ早めに志望校を5校くらいリストアップしておく。2次試験対策のことも考えると、夏休み前には決めておきたいですね。これは、センター試験の出来・不出来によって、候補のうち、どこの大学に出願してもよいようにしておくためです。候補には私立大学を含めても構いません。

 5校くらいに絞り込んだら、その大学を意識した受験勉強に早めに取りかかる。医学部では出願時に『志望理由書』を提出しなければならない大学もあるので、それも早めに下書きしておくことが望まれます」。

 加藤部長は、志望校を絞り込むにあたって、大学の「アドミッションポリシー(入学者受入方針)」を十分に読みこなすことが大切だと話す。

 「アドミッションポリシーには、大学がどこに力を入れていて、そのためにどんな学生に来てほしいかが書かれています。最近は、募集要項の初めに書かれている大学も多いので、じっくり読んで、自分の興味や将来の志望に合致しているか検討してみましょう。京都大など、面接でアドミッションポリシーの内容について、必ず聞かれる大学もあるほどです」。

私立大は「学費」とともに、「入試スケジュール」の確認を!

 私立大も国公立大同様、地理的条件や入試の特徴、大学の特性などと、自分との相性を考慮しながら志望校を絞り込んでいくことが重要だが、やはり大きな決め手となるのは「学費」だろう。大学によって大きな差があるので、早めに保護者と話し合っておきたい。近年は奨学金の充実化を進める大学も増えており、地方自治体や民間育英団体の奨学金制度などもあるので、それらも含めて検討することが重要だ。

 加藤部長はこれらと並んで、私立大医学部では入試スケジュールをしっかりチェックしておくことが欠かせないと言う。

 「私立大医学部は毎年、2次試験も含めると、1月の後半から約1か月間、毎日どこかの大学で試験が行われています。試験日は毎年変わりますし、私立大の場合は2次試験の日程も考慮する必要があります。志望校の試験日がバッティングして一方が受けられないということにならないように、入試スケジュールはしっかりとチェックしておくことが大切です」。

 そして、加藤部長は医学部をめざすなら、しっかりと肝に銘じてほしいことがあると話す。

 「医学部では、❝受験校はあとで決めればいい❞は絶対禁物です。確たる目標なしに勉強を続け、高3の冬頃に大学を決めるなどというのはナンセンスで、難関の医学部に合格することは100%不可能です。先に述べたように、“受験の常識は医学部では通用しない”“受験界の常識は医学部の非常識”なのです。ですから、志望校はとにかく早めに絞り、受験準備に取りかかることが重要で、小学校からでも早すぎるということはありません」。


PART6 情報を制する者は医学部入試を制する

予備校や塾の情報力・指導力を最大限に活用しよう!

 このように、医学部入試では大学ごとの入試の特徴や入試スケジュールなどをいち早く、正確に把握し、志望校を絞ることが、受験勉強と並んで合否の大きなカギとなる。まさに「情報を制する者は医学部入試を制する」のだ。

 これらの情報は、大学のホームページ、受験雑誌などの資料、大学が開くオープンキャンパスなどで得ることができる。だが、81校(防衛医科大を含めると82校)もある医学部の情報を集めるには大変な労力が必要だし、検索に貴重な受験勉強の時間が取られてしまうのはもったいない。

 そこで活用したいのが、予備校や塾の情報力だ。予備校や塾のWEBサイトには、必要な情報が大学ごとに網羅されている。例えば、SAPIX YOZEMIグループのサイト『Y-SAPIX 医学部研究室』には、各大学医学部の入試データや入試スケジュールなど合格に必要な情報がテーマごとに整理されており、志望校を比較検討するのに大いに役立つ。

 また、受験のプロならではの情報分析力、指導力も見逃せない。過去の入試問題などの蓄積データを基に、受験生一人ひとりに適した最適なアドバイスや模擬面接などをしてくれる。

 難関の医学部合格は、なかなか受験生一人では勝ち取れないもの。こうした予備校や塾の情報力や分析力、指導力を大いに活用して、合格に向けた受験準備をいち早くスタートしてほしい。



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