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医学部に強い中高

2019.06.21

【西武学園文理小学校】
「12年一貫教育」の成果を発揮
8人に1人が医学部に進学!

校長 飛田浩昭先生
校長 飛田浩昭先生

系列の中学・高等学校を含めて「12年一貫教育」を掲げる西武学園文理小学校。2004年に開学し、2019年3月には西武文理で12年間学んだ4期生64名が卒業したが、現役で8名が医学部に進学するなど高い進学実績を残している。12年一貫教育の基礎を作る小学校教育について、飛田浩昭校長に伺った。

教科担任制との併用で充実した理数教育を展開

西武学園文理小学校では、12年間の一貫教育により「世界のトップエリート」を育成することを目標としている。そのため、「心を育てる」「知性を育てる」「国際性を育てる」の3つを教育の柱として設定し、多彩な教育プログラムを展開している。なかでも同校が特に力を入れているのが、理数教育と英語教育だ。

小学校では、担任が全教科を教える「学級担任制」が一般的だが、同校では、低学年の段階から「教科担任制」を採用している。飛田浩昭校長はその理由を次のように語る。

「12年一貫教育の実効性を高めるにはカリキュラムの一貫性が大切です。それには、より専門性の高い中高の教育を熟知した教員による教科担任制が有効です。しかし、小学校段階では生活指導を担当する学級担任の存在も極めて重要です。そのため、本校では主要教科は学級担任が教え、それ以外を教科担任が教えるシステムにしているのです」

今年度からは、系列の中学と高校から理科教員が1名ずつ小学校の理科教員として移籍し、新たなカリキュラムで教えることになっている。実験を重視し、探求を通して論理的に物事を分析する理数的な考え方の基礎を養うことで、中高での理科教育にスムーズに接続させるためだ。

理数教育強化の一環として、埼玉医科大学との連携による「キッズ医療体験」も実施している。5・6年生の希望者を対象に、保護者と共に医療現場を見学したり、同大学で医師として働く西武学園文理高校OBと交流したりする体験プログラムだ。

「医師を志望するしないに関わらず、医師という職業を体験することで、広い意味で理数的な考え方が求められる世界への視野が広がります。学びへのモチベーションを高める上でも有効で、児童や保護者から高い評価を得ています」(飛田校長)

埼玉医科大学での医療体験でAEDの説明を聞く

埼玉医科大学での医療体験でAEDの説明を聞く

ドクターヘリ見学

ドクターヘリ見学

胸骨圧迫心臓マッサージの体験

胸骨圧迫心臓マッサージの体験

高校生に教わるロボット・プログラミング

日本の学校教育ではまだ馴染の薄いSTEM教育にも力を入れている。STEMとはScience(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)の頭文字をとったもので、科学や数学を中心とした教育のことを指す。

具体的には、様々なパーツを組み立てて自作ロボットを作り、自分たちでプログラミングを行って、狙い通りの動きをさせる「ロボット・プログラミング講座」を、5・6年生を対象に学期に1回実施している。2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるが、それを先取りした形の教育内容といえる。

ユニークなのは、プログラミングを教えるのが、西武学園文理高校の理数科の生徒たちであることだ。

「自分たちと5~6歳しか違わないお兄さん・お姉さんが、見事にロボットを動かす姿を見て、自分たちもそうなりたいという前向きな気持ちが生まれます。また、教える高校生にとっても、自分たちが学んだことの意義を再確認できるいい機会になっており、双方にメリットのあるプログラムといえます」(飛田校長)

ロボットをどのように活用するのかを考えることは、問題解決能力や創造力を養うことに繋がり、「ロボット・プログラミング講座」では、理数科の生徒に教えてもらい、児童も楽しく学ぶ事ができる。

英語への抵抗感をなくす「英語のシャワー」

同校の英語教育は、国際的に活躍している人たちから高い評価を得ている。次期学習指導要領から、小学校で英語が教科化されるが、同校では1年生から英語の授業を行っており、6年間で英検®3級を全員が取得し、そのうち3割近くの児童が準2級あるいは2級まで取得するほどの英語力を育成している。

最大の特色は、「英語のシャワー」ともいうべき豊富な時間数だ。英語の授業自体は、1年生から6年生まで週に2時間あるが、音楽、図工、体育の授業には外国人英語講師が入り、教科の教員とのチームティーチングにより、英語で各教科を教えるイマージョン教育を行う場にもなっている。

これらを合計すれば、英語に触れる授業が週に10時間ほどあることになる。しかも、外国人英語講師はランチにも同席するほか、各種学校行事にも参加するため、学校生活のあらゆる局面で英語のシャワーを浴びることができるわけだ。

「ですから、本校の子どもたちには英語への抵抗感がまったくありません。私も朝礼は英語で始めますし、司会を務める児童も当たり前のように英語で話し始めます。学校生活の中に英語での会話が当たり前のように入っているのです」(飛田校長)

英語教育のもう1つの特色は、英語をツールとして教えている点だ。外国人英語講師の出身国は英米豪などにとどまらず、ドイツやチェコ、ハンガリーなど様々だ。英語を母語ではなくツールとして獲得した人たちだからこそ、細かな発音や文法にこだわり過ぎず、コミュニケーションツールとしての英語を教えることに長けているともいえる。

「『聞く』『話す』力は、6年間の英語のシャワーでかなりのレベルに達します。今後は、高学年から『読む』『書く』力の強化にも力を入れ、4技能をバランスよく育てていきたいと考えています」(飛田校長)

イギリスとアメリカへの海外研修旅行も実施

高めた英語力を活用し、国際性を身につける教育の一環として、同校では海外研修にも力を入れている。

たとえば、5年生は16日間の「イギリス短期留学」に参加する。イギリス人スタッフや世界各国から集まる同年代の子どもたちと、生活を共にしながら英語を学ぶプログラムが用意されており、英語を使うことで国籍や人種を超えた交流ができることを学ぶ絶好の機会となっている。

世界のトップリーダーを輩出するイートン校やオックスフォード大学、ケンブリッジ大学なども訪問する。

6年生になると、一週間の「アメリカ研修」が待っている。ハーバード大学やM I Tを訪問するほか、ボストン近郊でホームステイを経験し、ニューヨークでは、現地の小学3年生と中学1年生に、日本文化を英語で教える機会も用意されている。

こうした海外研修を安全に円滑に行えるように、同校では小学1年生から宿泊行事を取り入れている。学年が進むにつれて、ホテル泊や航空機搭乗、連日の荷造り・荷解きなどを経験させ、海外研修での生活に必要な経験を積ませているわけだ。

なお、2回の海外研修旅行や宿泊行事にかかる費用は、すべて学費に含まれているため、特別な出費を考えないですむ点も大きなメリットだ。

先取り学習ではなく内容を深める方向へ

12年一貫教育とはいえ、同校では先取り学習は行っていない。中高は6年間の課程を5年間で学ぶ先取り学習をいち早く導入しているが、そのスピードについていくためには、小学校段階で体験を基にじっくり学ぶことが必要だからだ。その代わり、英語の教科書で算数を教えるなど豊かで深い学びを実現している。

「12年一貫教育を受けた西武学園文理高校卒業生として、今春初めて東大進学者が2名出ましたが、塾に通わず学校の勉強だけで合格したと聞いています。一貫教育生の8分の1が医学部に進学したことと合わせ、理数教育と英語教育を重視する本校の教育が底力になったのではないかと自負しています」(飛田校長)

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 SUMMER.2019年6月〈メディカルストーリー 教育特集号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

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