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医学部に強い中高

2019.06.27

【暁星中学・高等学校】
キリスト教の理念に基づく人格教育で豊かな感性と自ら学ぶ力を育む

キリスト教の理念に基づく人格教育で、社会に貢献する人材育成を行っている暁星中学・高等学校。毎年医学部に多数の合格者を輩出(2018年度は現役42人、浪人41人)しており、医師になった卒業生による教育支援活動も盛んだ。今春医学部に入学した卒業生に、暁星での日々を振り返ってもらった。

慶應義塾大学医学部1年 横山 貴一 さん

慶應義塾大学医学部1年 横山 貴一 さん
小学校から暁星で学ぶ。小5から野球を始め、大学でも野球部に所属。ポジションはキャッチャー。またESSサークルでも活動中。

生徒全員が顔見知りののびのびとアットホームな環境

――小学校から暁星だそうですね。

横山 僕はキリスト教系の幼稚園に通っていました。女子が多かったので、男子校に対する憧れがあったのだと思います。また僕自身はクリスチャンではないのですが、キリスト教という価値観を共有する学校ということもあったと思いますね。

実際に入学してみると、一学年の人数が少ないので、すぐにほとんどの生徒と顔見知りになりました。中学からの生徒が入ってきた時も同じでしたね。同級生全員のフルネームを知っていますし、話したことのない同級生は多分いないはず。それでいて、いろいろなタイプの生徒がいて面白かったです。

――先生方との距離が近いとうかがっています。

横山 そうですね。授業以外でも、廊下を歩いていて担任以外の先生に声をかけられることもよくありましたし、職員室の敷居も低くて、休み時間や放課後には、多くの生徒が職員室を訪ねていました。

先生方は皆、自ら学ぶ意欲を生徒から引き出すのがうまいと思います。オリジナルプリントを使ったり、先生の裁量でいろいろな工夫がされている授業で、知的好奇心を刺激されました。

たとえば物理で、ラジオの仕組みや、リニアモーターカーがどうして動くかといった解説を受け、「これって先生の趣味だよね」と思いながら熱弁に引きつけられたこともありました。

また、押さえつけることなく、やりたいように勉強をやらせてくれるのもありがたかったですね。でも放任というわけではなく受験対策として、数学で手書きの解答付のプリントを作ってくださったり、センター試験向けに地理の問題をB4の用紙裏表にびっしり用意するなど手厚くサポートしてくれました。

自分から「知りたい」「やりたい」と手を挙げれば、「いいじゃない、やってみなよ」と応援してくれる。必要な時はいつでも、有意義なアドバイスやサポートがある。そんな環境だからこそ、自ら考え、動くことができるようになるのだと思います。

幼少期からの宗教教育が「人の役に立ちたい」の原点

――暁星には「宗教」や「フランス語」など、独特の授業がありますね。

横山 週1回の「宗教」の授業は、人間としての常識や教養を学ぶ時間という感覚です。「人の役に立ちたい」という思いの土台には幼少期からの宗教教育がありますし、宗教の授業で学んだことは、医師としての倫理観につながってくると思います。

またフランス語を学ぶことで、言語に対する興味が深まり、多様な価値観への理解につながったと感じています。大学でも第二外国語としてフランス語を学んでいますが、中学でのアドバンテージを感じますね。

ちなみに「宗教」と「フランス語」については、暁星の進学相談会のスタッフを務めていた時に受験生の保護者からよく質問を受けましたが、どちらもそれほど心配する必要はないですよ。

――生徒会活動などにも力を入れられたとか。

横山 野球部と並行して中1から高3まで生徒会にも所属、タテのつながりも強くなりました。ほかにも募金活動のボランティア、語学研修やサマースクール、ディベート勉強会など、興味のあることに積極的に取り組みました。

特にディベートの練習は、入試の3回目の面接で「今後の医療のあり方」について聞かれた時に大いに役立ちましたし、大学のESSサークルの活動にも生きています。

ミサ

ミサ

治らない病気を一つでも無くしたい

――医師を目指したきっかけを教えてください。

横山 きっかけの一つになったのが、中2の時、同級生が亡くなったことです。それまで医師は万能で、何でも治せるようなイメージを持っていたのですが、そうではないという現実を突きつけられたことで、治らない病気を一つでも減らしたいと思うようになりました。

僕の代は他の代以上に医師を志望する生徒が多いのですが、多かれ少なかれこの体験が影響しているのではないでしょうか。

慶應を選んだのは、自主性を重んじる校風と、研究が盛んなことからです。もうすぐ研究室を訪ねる機会があるので、今から楽しみにしています。

――進路に関して、先生方からどんなアドバイスがあったのでしょう。

横山 暁星では、進路決定は生徒の意思が尊重されます。学校の都合で受験先を強制するような進路指導はされませんし、「頑張れ」と背中を押してくれますから、自分の行きたい大学に向けて全力で進んでいけます。

また、暁星には医学部をめざす生徒が多くいるのも心強かったですね。情報交換も盛んでしたし、試験会場に必ず仲間がいて、平常心で試験に臨めたのも、目に見えないところで大きかったのかなと思います。

――医師の卒業生の集まりもあるそうですね。

横山 「暁星医会」という卒業生の医師の集まりがあり、講習会や交流会などが催されています。僕も数回参加したことがありますが、このネットワークの存在はとても心強いです。

――医学部ではどんな学びをしたいとお考えですか。

横山 前に話したように、今は研究に興味を持っています。現在の医学では治すことのできない病気の原因を解明し、治療法を探究していきたい。そのためには、患者さんのニーズに敏感になることも必要だと思っています。

AIがどんなに進歩しても、医師の仕事は機械に取って変わられることはありません。自分のためではなく、患者さんのための医療という考えを忘れず、病気と向き合っていきたいと考えています。

――横山さんにとって暁星とは?

横山 誰にでも何かしら、全力で取り組むことが見つかる場所。先生方のサポートの下、生徒の自主性が重んじられ、一人ひとり居場所が見つけられます。この環境を生かして、いろんな活動にどんどん手を出して欲しいと思います。悩んだり失敗したりしたことも、必ず自分の力になるはずです。

――最後に、医学部を目指す人にアドバイスをお願いします。

横山 なぜ医師を目指すのかを自問自答して欲しいですね。「成績がいいから医師を目指す」というのは違う気がします。

医学部という狭い門を突破するためのモチベーションは、医師という職業への強い思いだと思います。僕もこれから、心身共にタフな医師を目指して頑張ります。

――ありがとうございました。

中学サッカー部は全国大会に連続出場する強豪校。一般の生徒もサッカー好きが多いとか

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一般の生徒もサッカー好きが多いとか

2019年大学合格実績

(卒業生167名)

■医学部医学科

大学名現役浪人合計
北海道大学011
筑波大学112
千葉大学112
東京医科歯科大学101
新潟大学011
信州大学101
富山大学022
島根大学011
琉球大学101
札幌医科大学011
横浜市立大学101
国公立大医学部合計 6814
慶應義塾大学112
日本大学044
帝京大学358
金沢医科大学022
兵庫医科大学011
北里大学437
杏林大学5712
国際医療福祉大学033
埼玉医科大学123
自治医科大学101
順天堂大学729
昭和大学8311
聖マリアンナ医科大学224
東京医科大学437
東京慈恵会医科大学729
東海大学011
東邦大学448
獨協医科大学112
日本医科大学538
福岡大学101
私立大医学部合計 5449103
防衛医科大学校011
医学部合計6058118

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 SUMMER.2019年6月〈メディカルストーリー 教育特集号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

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