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医学部ガイド

現役医学部生に聞く

2019.08.07

【東海大学/地域枠/岡本大輝さん】
医師の偏在問題に関心があり、地域枠に挑戦

東海大学の医学部入試では、様々な入試枠を用意している。医学部卒業後、地域医療機関で一定期間以上勤務することにより、奨学金の返還が免除される地域枠入試を利用した岡本さんにお話を伺った。

大学でも準硬式野球部で活躍する岡本さん
大学でも準硬式野球部で活躍する岡本さん

──医師を志したきっかけを教えてください。

最初は10歳くらいのころです。医療ドラマの『コード・ブルー』を見て、ドクターヘリに搭乗する主人公にあこがれました。私の周囲には医療関係者はいませんでしたが「純粋にフライトドクターってかっこいいな」「人を助けられる仕事なんだな」と考えていたことを覚えています。

成長するにつれて、ほかの職業にも興味を持つようになりましたが、医師に対するあこがれだけは、ずっと心に残っていて、高校生になってもその思いは変わらなかったので、医学部受験を決意しました。

──東海大学を選んだ理由は何だったのでしょうか?

私は都内のごく普通のサラリーマン家庭の息子なので、あまり親に金銭的負担をかけたくないと思っていました。となると、最初に選択肢として浮かぶのは国立大学。

私は一浪していますが、現役時代も国立大学しか受けませんでした。しかし、結果は不合格。ただ「医師になりたい」という気持ちは揺らがなかったので、これからどう動くべきか悩みました。

そんなとき、親が「私立大学の地域枠も視野に入れてみたら」と勧めてくれました。「適応力もあるようだし、地方に着任してもやっていけるんじゃないか」と。それで、地域枠について具体的に調べ、東海大学に静岡県地域枠入試があることを知りました。

静岡は東京からも程近く、子どものころに何度か旅行をしたこともあって、自分にとっては親しみやすい土地でしたし、また、医師の偏在問題にも関心があったので、静岡県地域枠入試に挑戦することにしました。

──受験勉強で苦労した点はありますか?

高校時代は硬式野球に明け暮れていて、練習も週7日体制。日が昇っている間は野球をやって、ご飯を食べて寝るという生活でした。ちなみに現在も東海大学医学部の準硬式野球部に所属しています。

受験勉強は高3の夏の大会が終わった後から始めましたが、さすがにその年は医学部の合格は難しく、浪人して予備校に通い、勉強漬けの1年間を送りました。

しかし、それまで私はずっと体を動かしていたので、1日中、机に向かっているというのが性に合わず、適度に息抜きもしないと思うように勉強が進まなくなった時期もありました。

そこで気分転換に筋トレなどもしつつ、自分の成績を精査して、弱点を補うように努めました。特に最後の冬は集中して勉強しましたね。

過去問をベースに、「この学校の出題傾向はこうだから、これが出たら自分は何点取れる」など、研究・対策を徹底しました。その成果がセンター試験当日にようやく出て、何とか東海大学の静岡県地域枠入試に合格することができました。

──地域枠というと、一般入試以上に面接や小論文が重視されそうですが、そちらの手応えはいかがでしたか。

面接ではやはり地域医療についての質問が出ました。医師の偏在に係る質問などを聞かれたと思います。

私はマンパワーに頼るのは難しい話で、医療の仕組みから変えていかないと、どうしようもないと言った内容を伝えて、いい雰囲気で面接を終えることができました。

小論文は医学部としては少し変わっていて、詩を読んで感じたことを書くというものでした。文章をまとめる際に意識したのは、何を求められているのかを考え、感想に医療をからめたことです。正しいかはわかりませんが医師になるために入学を希望しているので、その詩についてだけ書くのは違うと思ったからです。

──実際に東海大学に入学してみて、どんな印象を受けましたか。

自分が通っていた医学部予備校より、のんびりして、和やかな人が多くて驚きました。予備校ではみんなが医師をめざす仲間ですが、同時にライバル関係にもあるわけです。「彼らより優秀じゃないと合格できない」という意識がどこかにあって、ぴりぴりしている面もあり、けっして雰囲気がすごくいいとはいえませんでした。

実際の医学部もそんな雰囲気なのかなと思っていましたが、東海大学の医学科生は、誠実でコミュニケーション能力が高く、協調性のある人ばかり。学力は当然として、面接できちんと「医師になる素質を持った人」を選抜しているんだなと感じました。

大学の立地もちょうどいいですね。キャンパスは神奈川県中央部の伊勢原市にあって、緑も多く、静かで勉強に集中でき、都心にも1時間くらいで出られます。めりはりがつけられる距離感ですし、学内には息抜きの場になるクラブやサークルもいろいろとそろっていて、充実した学生生活が送れる環境だと思っています。

──どんな医師を目指していますか。

救急医と外科医、どちらの仕事もしたいです。『コード・ブルー』の主人公がそうだったというのもありますが、私は実際に手を動かして作業することが好きなんです。割と器用なほうだとも思うので、手術などでそれを活かせればと。

就業先は静岡県ですが、どうすれば地域の医療問題を解決できるのか、それを考えて動ける医師をめざしたいです。

もちろん、ドクターヘリへのあこがれもあります。それにはヘリを持つ病院に採用してもらう必要があるので、きちんとした能力、そして体力がポイントになると思います。私は体力には自信がありますし、搭乗できるようにがんばります。

──医学部をめざす受験生にアドバイスをお願いします。

医学部に合格してから、昔なじみの人などに「すごいね、勉強がんばったんだね」といわれることが多いです。でもいちばん大変だったのは、夢を最後まであきらめないことでした。

もちろん、勉強をがんばったことは事実ですが、受験生活の節目節目では、医師以外の選択肢もちらつくんですよ。「こんな成績じゃ医学部には入れない。やっぱり普通の大学に行って、会社員になる道を選んだほうがいいのかな」とか。

でも「それじゃだめだ、小さいころから描いた夢をかなえたいんだ」と強く思い続けたからこそ、今の自分があるんだと思います。大切なのは理想を形にできるよう、最後まであきらめずに努力することだと思います。

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