――具体的には、どんな教育プログラムを実践しているのでしょうか。
木村 2つのキーワードで説明しましょう。まず、「本質を捉える」から。
医サイでは、生徒各自が「世界のまだ誰も知らないこと」を研究テーマとして立案し、中高6年間をかけて「研究活動」を行っています。
世界中から最新の学術論文を取り寄せて読み込む必要もあるので中高生にはハードルの高い学習ですが、専任スタッフが指導に当たり、「寿命とは何か」「メタボと細胞死の関係」など、各自が興味あるテーマを楽しく研究できるような環境を整えています。
その研究内容については全員、けやき祭(文化祭)で発表します。専門的な内容を、小学生の来場者にもわかるように平易かつ正確に伝えるには、研究内容の本質を正しく捉えていなければなりせん。
――もう一つのキーワードは何ですか。
木村 「本物に触れる」です。多くの大学や医療従事者のご協力の下、「医療の最前線に触れること」を指しています。
たとえば、「ドクタージェネラル」として有名な大阪医科大学の鈴木富雄先生には、総合診療について毎年ご講演いただくだけでなく、大阪医科大の医学生たちと共に、実際の地域医療に参加する研修も実施してもらっています。
世界の先進国で高齢化が加速するなか、過疎化・高齢化が進む地域はまさに医療の最前線。そこで現実の医療に触れることは、終末期医療や死生観も含め、生徒たちがこれからの医療を考える上での貴重な体験になります。