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医学部に強い中高

2019.06.20

【北嶺中・高等学校】
今春東大9名・国公立医学部46名・私立医学部25名(既卒を含む・卒業生123名)
文武両道のリーダー教育で東大・医学部をめざす
充実した学習支援体制の「青雲寮」を併設

谷地田穣校長
谷地田 穣 校長

札幌市郊外にある北嶺中・高等学校は、「めざすなら高い嶺」をスローガンに掲げ、少数精鋭のリーダー育成教育を実践する一方、柔道とラグビーを“校技”と定める文武両道の男子進学校だ。東大をはじめとする難関大学や医学部医学科への高い合格実績で知られる同校の教育について、谷地田穣校長に伺った。

ラグビー

卒業生の3分の1が医学部に進む北海道屈指の男子進学校

1986年に設立された北嶺中・高等学校は、文武両道のリーダー教育を掲げ、「知(知識)・情(感情)・意(意思)・体(身体)」の調和が取れた全人教育を実践する、北海道屈指の男子進学校だ。

開校当初から柔道とラグビーを体育の授業で必修とし、柔道ではほとんどの生徒が在学中に初段を取得。また、中1~高2の「全校登山」では、学年が上がるにつれてより難度の高い山に挑み、心身を鍛えると同時に仲間との協調性を育んでいる。

北海道の雄大な自然に囲まれた校舎。生徒は落ち着いて学習に集中することができる。

北海道の雄大な自然に囲まれた校舎。
生徒は落ち着いて学習に集中することができる。

そんな同校は1期生の卒業以来、東大合格者を輩出し続け、卒業生123名が挑んだ2019年度は、東大に8名が現役で合格。内訳は、理Ⅰ3名、理Ⅱ3名、文Ⅱ1名、文Ⅲ1で既卒生を含めた総数は9名に上る。国公立大の合格者総数は既卒生を含み114名、医学部医学科合格者は71名となった。

2019年度の大学合格実績

創立34年目の比較的若い学校ながら、「医学部に強い中高一貫校」としての認識が高まり、本州からの入学者が増加している要因として、谷地田校長が挙げたのが、「1学年120名程度の小規模校ならではのきめ細かい指導体制」と「切磋琢磨しながら学習に集中できる環境」だ。

たとえば、中学校では英・数・国について、公立校の約1・8倍の授業時間を確保。習熟度別授業、放課後講習、長期休みを利用した講習も行われ、難関大学進学を見据えたカリキュラムで着実に学力を高めていく。高3では「東大理系数学」「医進英語」などの超難関大学講座を放課後に開講し、面接試験対策や小論文の添削指導などにも対応している。

谷地田校長は、「学校として医学部受験を推奨しているわけではありませんが、入学時点で約3分の2の生徒が医学部を志望し、例年卒業生の3分の1が進学しています。切磋琢磨する校風が代々受け継がれているのも、高い志を持つ先輩や仲間の存在が大きいのではないでしょうか」と語る。

医学部進学に特化した充実のプログラムを展開

同校では医学部志望者への支援体制を強化するため、2018年度より医学部進学に特化した「北嶺メディカルスクール」を始動させた。これまでのハイレベルな医学部受験対策指導にとどまらず、早期から医療・福祉の現場に触れる機会を拡大。

将来、日本や世界で中心的役割を担う「21世紀の医療人」に必要な資質として、医療の基礎知識はもちろん、豊かな人間性、深い洞察力、倫理観、生涯学習につながる自己学習力や自己問題解決能力、国際性などを身につけることを目的とした充実の内容だ。

従来の一日医療探検、医師セミナーに加え、プロスポーツチームドクターや救命救急医などを招いての講演会やワークショップ、グループディスカッションを行うほか、学年全員でハーバード大学メディカルセンターを視察し、授業を受ける。さらに、大学病院の見学や訪問診療研修、離島(Dr.コトーキャンプ)、へき地での医療研修(赤ひげツアー)も実施している。

谷地田校長は、「北嶺メディカルスクールは、これまでに900名以上の医学部医学科への合格者を輩出し、卒業生の多くが日本、世界を舞台に最先端の医療、医学研究、地域医療、僻地医療、医官など、幅広い分野で医療を支えている、本校だから実現できるプログラムです」と語る。

北嶺メディカルスクール「一日医療体験」プログラム

北嶺メディカルスクール
「一日医療体験」プログラム

きめ細かい指導体制で学習を支援する青雲寮

イギリスの全寮制パブリックスクールをモデルに創設された同校は、学習支援体制を整えた生徒寮「青雲寮」を併設し、全校生徒の3人に1人が入寮している。

青雲寮には、13時に出勤し、学校の午後の授業を担当した後、23時まで寮生の学習サポートを行う寮教諭が14名在籍。そのほかにも、北大医学部生や大学院生、札幌医大生、現役医師など20名以上の卒業生チューターがシフトを組み、毎日3~4名体制で巡回指導を行う。

また、成績の思わしくない生徒に対しては、30年以上のキャリアを持つ専属の家庭教師を中心に、5名の教員が個別指導を行い、基礎固めの徹底を図る。

さらに、寮では学校の教員による全学年対象の夜間講習を開講し、中学生は全員を対象に英・数・国の3教科を週3回指導。高校生は希望者を対象に、理・社を加えた5教科の夜間講習を実施し、外国人講師が担当する英語のワークショップも行われている。

青雲寮では、中1~高2までが2人部屋、高3は個室で生活する。寮での学習時間は、19時から21時、および21時30分から23時と定められており、寮教諭やチューターのサポートを受けながら個別ブースで自習したり、夜間講習を受けたりと、生徒は目的に合わせて効率よく学習を進めている。

青雲寮での個別指導

青雲寮での個別指導

家庭的な雰囲気の寮生活で学年を超えた絆を深める

生活面での配慮も万全で、食事は朝・昼・夕食に夜食を加えた栄養バランスのとれた4食を提供。大きな浴室とシャワールームは1日4回開放し、朝野球やサッカーをする生徒は早朝6時~7時(日曜日は10時まで)の時間帯に入浴できる。洗濯は自分でする必要がなく、業者がすべてを行う。

休日にはボウリング大会や温泉プール遠足、プロ野球観戦など、寮生向けのレクリエーション行事を毎月開催。寮生同士が学年を超えた絆を深めると同時に、健康で充実した毎日を過ごせるよう、生活面での配慮も万全だ。

また、寮生活の様子をブログで毎日発信したり、寮母・寮監が各家庭に頻繁に電話をしたりするなど、保護者との連絡もきめ細かく行われている。「本校の寮生たちは、もう一つの家族のような関係です。勉強もスポーツも遊びも、全力で取り組むのが“北嶺ファミリー”の良さです」と、谷地田校長は笑顔で話す。

"世界最高峰"を体感し仲間と共に高い嶺をめざす

さらに、グローバルリーダーの育成をめざす「Gプロジェクト」を推進し、英検®やTOEICなどの英語能力テストに全学年で取り組み、英語4技能の習熟を図るとともに、外国人講師による「英会話講習」など多種多様なプログラムを通じて異文化理解を深める。その集大成となるのが、高1の海外研修旅行だ。

事前準備学習として1月にハーバード大学の学生を招き、「北嶺ハーバードキャンプ」(中3・高1対象)を実施。生徒はワークショップに取り組み、英語でのコミュニケーション能力・プレゼンテーション能力を高める。

そして3月の「ハーバード大学&マサチューセッツ工科大学(MIT)グローバルリーダー養成プログラム」では、高1全員でボストンとニューヨークを訪れ、大学教授や大学院生の特別講義や現役の学生たちとワークショップに臨む。

海外研修旅行(グローバルリーダー養成プログラム・ハーバード大学訪問)

海外研修旅行
(グローバルリーダー養成プログラム・ハーバード大学訪問)

また、同校では科学分野に特化した3か年研修プログラム「HOKUREI SCIENCE PROJECT」(Sプロジェクト)を導入。

中2の「サイエンスプロジェクト in JAPAN」では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、高エネルギー加速器研究機構、羽田機体メンテナンス工場などで研修を行い、中3は北海道赤平市の産業機器メーカーの植松電機でモデルロケットの製作と打ち上げを体験する。

さらに、中3〜高2の希望者には、NASAケネディ宇宙センターやスミソニアン航空宇宙博物館での研修「サイエンスプロジェクト in U.S.A」も実施している。

サイエンスプロジェクト in JAPAN

サイエンスプロジェクト in JAPAN
(中2JAXA研修)

このような„世界最高峰”を体感できる少数精鋭のリーダー育成教育と、高い進学実績が認知されるにつれ、首都圏での人気が高まる同校。近年では、都内の名門中学に合格したにもかかわらず、札幌での寮生活を選ぶ生徒も増えているという。

2019年の東京入試では、153名の応募者を集めた。子どもを自立させ、高い目標に向かって仲間と高め合える環境で学ばせたいと考えるなら、同校はその最有力候補の一つとなるに違いない。

なお、同校の入試会場は札幌(本校)・旭川・函館・釧路・帯広・仙台・東京・名古屋・大阪の9箇所。また、専願・併願・一般・帰国の4つの受験区分が設けられ、合格ラインがそれぞれ異なる。

事前に学校見学に訪れ、そこで発行された『学校見学証明書』を持っていれば、東京・大阪・名古屋会場でも専願・併願での出願が可能となる。

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 SUMMER.2019年6月〈メディカルストーリー 教育特集号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

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