医師を目指したきっかけは母が薬剤師、叔父が歯科医等、身近に医療従事者が多かったこと、また小学校入学前からぜんそくを患っており、入退院を繰り返していたことなどから、身近だったことが一因です。
麻酔科医を選んだのは、初期臨床研修のときです。私自身「手術に携わる」イメージしかなかったのですが、研修医として現場に関わり、やりがいがあると感じました。
麻酔科医は、手術を受けられる患者さんの全身の状態を把握し、麻酔管理を行うのが仕事で、患者さんが不安や緊張感なく、少しでも安心して手術を受けていただけるよう心がけています。手術中には大量出血や不整脈など、不測の事態が起こることもままあり、そうした状況を瞬時に判断し、執刀医や看護師などとも協力しながら麻酔方法の変更など適切に対応しなければなりません。
また術前には患者さんの症状や既往歴などの情報を集め、診察を行った上で最適な麻酔方法を選び、全身管理の計画を立てる。術後には痛みや譫妄などにも対応しながら、患者さんの回復を見守る。患者さんと接する機会は圧倒的に少ないものの、手術の間だけではなく患者さんと深く関わります。
体力や集中力、判断力も問われる仕事ですが、患者さんが安定した状態で手術室を出て行かれること、また術後も痛みが少なく、落ち着いて過ごされる様子を見ると、麻酔科医になってよかったと実感しますね。
私が常勤している武蔵野陽和会病院は二次救急病院のため、意識障害や認知機能などで既往歴や患者背景の詳細が不十分の状態で、最低限の術前検査での緊急手術ということもあります。そのため、今の職場だけでなく三次救急の病院での当直や大学病院で最先端の情報に触れるなど、麻酔科医としてのレベルアップに日々取り組み経験を積んでいます。
また産業医として、手術や麻酔に関する知識や、日々の生活の中で健康面の注意点などを一般の方に伝える活動も行っており、まだまだやりたいこと、勉強すべきことがたくさんあると感じています。
私生活では、小3の娘がいます。出産でブランクを作りたくなかったので、産後1カ月半くらいから徐々に仕事に復帰。子どもが小さい頃は周りに随分助けていただきました。院内の保育園や病室を利用させてもらったり、手の空いているコメディカルの方に、保育園に迎えに行ってもらったり。娘と過ごす時間は少ないのですが、全力で仕事に取り組んでいる姿から、何かを感じてもらえればと思っています。