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医学部受験AtoZ

医学部に強い中高

2019.06.27

【江戸川学園取手中・高等学校 医科コース】
自ら考え、強い意志を持って医師をめざす生徒を全力でサポート

1993年、医学部進学に特化した医科コースを設けた江戸川学園取手中高。毎年多くの卒業生を医学部に送り出している。難化が進む医学部受験に対して着実な成果を上げている要因は、医師としての素養を育てる独自の教育プログラムにある。同コースの特色と教育内容について、医科コース長の兼龍盛教諭、高3医科コース担任の金森裕教諭、学年部長・入試担当の遠藤実由喜教諭に話をうかがった。

医科コース長 兼  龍盛 教諭

医科コース長
兼 龍盛 教諭

高3医科コース担任・数学科副主任 金森  裕 教諭

高3医科コース担任・数学科副主任
金森 裕 教諭

学年部長・入試担当 遠藤  実由喜 教諭

学年部長・入試担当
遠藤 実由喜 教諭

「なぜ医師をめざすのか」を繰り返し問いかける

――高校の医科コースは1993年に設置されました。

兼 医科コースを開設して26年になります。以来医学部進学者は1400名を超え、500~600名のOB・OGが国内や世界各国で医師として活躍しています。開設以来蓄積したデータや卒業生とのつながりは、今の教育プログラムや体制づくりに非常に役立っています。

――今春の大学入試でも、医学部に多くの合格者を出されましたね。

兼 国公立19名、私立大58名の計77名でした。開設以来最も高い実績となった昨年は下回りましたが、筑波大医学類には昨年同様6名と、全国で一番多く合格者を出しています。学校が受験校を強制することはできませんから、年度によって実績に差がでるのは仕方がありません。

ただ、本当に医師をめざし、確かな実力を備えた生徒を育てるという姿勢は開設以来変わっていませんし、近年の“スキル以上に人間性"にも合致した教育を実践していると自負しています。

金森 現高3生は、高1時点では数学が苦手という生徒も多くいました。授業で徹底的に強化に取り組んだ結果、今ではほとんどの生徒が数学の苦手意識を克服し、医学部受験に対応できる力を身につけています。

遠藤 2016年度から中等部に医科ジュニアコースができ、第1期生が高校の医科コースに進みました。また、併設の江戸川学園取手小学校を卒業して、今春医科ジュニアコースに入学した生徒も多く、中1から2クラスで運営しています。

兼 医科コースでは、勉強ができるから医師になるのではなく、責任感と志を持って医師になって欲しいと考えています。そのため高1進学時に、医科コース志望者全員に校長面接を行い、意欲ある生徒を再選抜しています。

またわたしたち教員は、「なぜ医師を目指すのか?」と繰り返し生徒に問いかけます。医師への強い意欲を常に確認し、生徒同士が切磋琢磨することでモチベーションが高まると考えています。

卒業生のネットワークも活用体験重視の教育で人間性を養う

――医科コースの特徴的なプログラムを教えてください。

兼 医師としての素養や世界の舞台で活躍できるリーダーの資質を身につけてもらうプログラムとして、週に1コマ「メディカルサイエンス」という授業を行っています。

「医療問題」「科学実験」「医療統計」「科学英語」の4分野で、高1から高3までが学年の枠を超えて教え合い、学び合う協働学習が特徴です。昨年、特に力を入れた医療問題の分野では、再生医療の倫理面について考えを深め、講義やテーマに沿った研究を行いました。

――体験を重視した取り組みも多いそうですね。

兼 生徒一人ひとりにいきわたる実験機材をそろえ、さまざまな科学実験を行っています。また生徒には「医科コース生である前に江戸取生であれ」と言っています。文化祭や音楽大会にも積極的に参加し、失敗や小さな成功体験を積み重ねながら人間的に成長して欲しいと思います。

――大学や病院、現役医師との連携も強いそうですね。

兼 現役医師を招いての「医科講話」、医療倫理を学ぶ「医科教養講座」、長期休暇を利用した「一日医師体験」、お茶の水女子大学湾岸生物教育センターを利用した「海辺の生物体験」などのプログラムを用意しています。

また、今年度から国語科教員が医科コースに加わり、レポートなどを指導。医学部受験で行われる面接や小論文対策としても大変有効だと考えています。

医科ジュニアコースでも、大学の先生による講演を実施するほか、獨協医科大、国際医療福祉大などに見学に行きます。また卒業生の協力の下、今年度から「医科講話」も開始。早い時期から医療について考えを深める機会を設けています。

一方、アフタースクールを開講し、高校生が小学校での実験教室をサポート。小中高の流れの中で、医師への思いをより強固にして欲しいと考えています。

――学習の成果は、外部のコンテストなどにも表れているそうですね。

兼 3月には神戸で開催された「日本再生医療学会」では、ポスターセッションやプレゼンテーションも行い、銅賞を受賞しました。他にも平成30年度茨城県医師会高校生作文コンクール(会長賞)、第1回自治医科大学 高校生小論文コンテスト(入賞)など、さまざまな機会に日々の研究成果を発表しています。

ほかにも化学グランプリ2018(銅賞)、物理チャレンジ2018(優秀賞2名、奨励賞1名)、日本生物学オリンピック2018(敢闘賞)などでも実績を上げています。

金森 数学分野でも、数学甲子園2018で本選出場(昨年度に続き4年連続)しました。2019年日本数学オリンピックでも本選出場権を獲得しています。

「深化と挑戦」を掲げ時代にふさわしい教育を実践

――学校全体で教育改革が進んでいるそうですね。

遠藤 「規律ある進学校」として、心力・学力・体力をバランスよく伸ばす教育は、創立以来変わっていません。その上で「New江戸取」として新しい時代にふさわしい教育改革を進めており、2019年度は「深化と挑戦」をスローガンに、今まで以上に学習指導と人間教育に力を入れていきます。

学習指導では、従来型の知識・技能の修得に止まらず、思考力や判断力、表現力を培い、未知のさまざまな問題にも柔軟に対応できるタフな学力を養成。SDGs(持続可能な開発目標)を大テーマとした探究学習もその実践の1つで、2020年度からスタートする新大学入試制度にも十分に対応できると考えています。

もう一つの心の教育では、世界型人材への基礎力を育成。ネイティブによるオールイングリッシュの授業をはじめ、高等部では8日間のアメリカ・アカデミックツアーを実施し、生徒たちの視野を広げる機会を設けています。医科コースでも、2019年度からアメリカメディカルツアーを開始します。

――どんな医師になって欲しいとお考えですか。

兼 今は医師自身も自らのキャリアを考え、築いていく時代です。学力向上もありますが、 学習や学校生活への意欲的な取り組みを深め、自分で考え、自ら未来を切り開くチャレンジ精神を持って医師への道をめざしてほしい。その夢をかなえるために、我々も全力でサポートします。

病院見学では実際の医療機器に触れ医師になる想いを高める

病院見学では実際の医療機器に触れ医師になる想いを高める

病院の実体験で学ぶことも多い

病院の実体験で学ぶことも多い

獨協医科大学病院見学ツアー。ドクターヘリ見学

獨協医科大学病院見学ツアー。ドクターヘリ見学

医学部 合格実績
総合計77名合格

国公立大学19名

私立大学58名合格

筑波大学6名合格

東京医科歯科大学1名合格

国公立大学
※医学科のみの集計
大学名合計現役浪人
筑波624
秋田321
東京医科歯科101
千葉101
群馬110
鹿児島110
高知101
佐賀101
長崎101
防衛医科大学校321
国公立大医学部合計19811
私立大学
大学名合計現役浪人
国際医療福祉1046
獨協医科743
東北医科薬科725
北里532
杏林413
日本321
帝京312
東邦312
東京女子医科220
岩手医科202
埼玉医科202
昭和202
愛知医科202
自治医科110
東海110
日本医科110
東京医科101
金沢医科101
藤田医科101
私立大医学部合計582335

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 SUMMER.2019年6月〈メディカルストーリー 教育特集号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

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