――医師を目指したきっかけを教えてください。
横山 きっかけの一つになったのが、中2の時、同級生が亡くなったことです。それまで医師は万能で、何でも治せるようなイメージを持っていたのですが、そうではないという現実を突きつけられたことで、治らない病気を一つでも減らしたいと思うようになりました。
僕の代は他の代以上に医師を志望する生徒が多いのですが、多かれ少なかれこの体験が影響しているのではないでしょうか。
慶應を選んだのは、自主性を重んじる校風と、研究が盛んなことからです。もうすぐ研究室を訪ねる機会があるので、今から楽しみにしています。
――進路に関して、先生方からどんなアドバイスがあったのでしょう。
横山 暁星では、進路決定は生徒の意思が尊重されます。学校の都合で受験先を強制するような進路指導はされませんし、「頑張れ」と背中を押してくれますから、自分の行きたい大学に向けて全力で進んでいけます。
また、暁星には医学部をめざす生徒が多くいるのも心強かったですね。情報交換も盛んでしたし、試験会場に必ず仲間がいて、平常心で試験に臨めたのも、目に見えないところで大きかったのかなと思います。
――医師の卒業生の集まりもあるそうですね。
横山 「暁星医会」という卒業生の医師の集まりがあり、講習会や交流会などが催されています。僕も数回参加したことがありますが、このネットワークの存在はとても心強いです。
――医学部ではどんな学びをしたいとお考えですか。
横山 前に話したように、今は研究に興味を持っています。現在の医学では治すことのできない病気の原因を解明し、治療法を探究していきたい。そのためには、患者さんのニーズに敏感になることも必要だと思っています。
AIがどんなに進歩しても、医師の仕事は機械に取って変わられることはありません。自分のためではなく、患者さんのための医療という考えを忘れず、病気と向き合っていきたいと考えています。
――横山さんにとって暁星とは?
横山 誰にでも何かしら、全力で取り組むことが見つかる場所。先生方のサポートの下、生徒の自主性が重んじられ、一人ひとり居場所が見つけられます。この環境を生かして、いろんな活動にどんどん手を出して欲しいと思います。悩んだり失敗したりしたことも、必ず自分の力になるはずです。
――最後に、医学部を目指す人にアドバイスをお願いします。
横山 なぜ医師を目指すのかを自問自答して欲しいですね。「成績がいいから医師を目指す」というのは違う気がします。
医学部という狭い門を突破するためのモチベーションは、医師という職業への強い思いだと思います。僕もこれから、心身共にタフな医師を目指して頑張ります。
――ありがとうございました。