医学部 塾・予備校活用ガイド
2025.01.16
【医学部予備校 富士学院】「良医を育成する」という目標のもと “教え、育む” 教育で高い合格実績を実現
医学部合格に高い実績をもつ医学部予備校の富士学院。その背景には、学力向上をより加速させる人間教育があります。その「教え育む」という教育理念について、村田慎一学院長に尋ねました。
医学部受験 富士学院 学院長 村田 慎一 氏
教育に携わる者として 嘘のない合格実績を公表
大学からのご依頼を受け、医学部や医科大学のオープンキャンパスで入試対策講座を行っています。
──毎年、2人に1人以上が医学部医学科に進学しているとのことですが、2024年度入試の結果について教えてください。
2024年度は、医学部医学科専願者622名中、実数で医学部医学科に363名が合格し、合格率は58・4%でした。2022年度が57・3%、2023年度が58・0%なので毎年、合格率が上がり続けているのが現状です。また、国公立医学部医学科専願者113中、東京大学理科三類、東北大学、名古屋大学など93名が合格し、合格率は82・3%にも上りました。
この実績については、他学部や一次合格者は一切含まず、補欠繰上合格者を含む医学部医学科のみの実績です。富士学院では「教育に携わる者」として、こうした実績にも嘘や誇張を一切含まないことを信念としています。
──どういうコースを設置されていますか?
高卒生を対象とした国公立医学部コース、私立医学部コース、国公立・私立併願コースの3コースと、現役生も受講できる個人指導を設けています。コースでの授業も少人数制で、科目別・学力別に8名以内で進めます。国公立医学部コース以外では選抜試験も行っていません。「医師になりたい、そのために頑張る」というやる気があれば、現在の学力を問わず受け入れています。
合格をゴールにせず 良医を育成する教育理念
上皇陛下執刀医を務めた順天堂大学医学部 天野篤特任教授による、医師になるという自覚を高めるための意識付け「自立講座」を各校舎で行いました。
──「教え育む」という教育理念について教えてください。
医学部予備校である前に、本質的な意味での教育機関でありたいと思っています。教育は「教え、育む」と書きますが、医学部受験に必要な学力をつけるだけでなく、生徒の医師になるという自覚と覚悟を促すことで、良医として活躍できる人格的な基礎を身につけてもらうことを強く意識しています。
医師は生涯学び続ける職業であり、最終的に生徒自身が主体的に目標に向かって勉強できるようになることが、医学部合格とその先の6年間の学びに耐えるために不可欠だからです。そのため、富士学院では生徒が自ら学び続けるような主体的な姿勢を「育む」ことを大切にしています。
厳選された講師陣で 情報共有するチーム指導
生徒一人ひとりに担任講師と担当教務が付き、指導する各科目の講師と共に「チーム」をつくり、課題点や指導方針を共有し、指導を行います。
──「教え育む」教育について、まず学習面について教えてください。
受験は受験科目の総合点で合否が決まります。そのため、富士学院では受講生1人に対して担任講師、各科目の担当講師、教務担当職員、校舎長の7名以上でチームを編成し、生徒も交え、定期的にチーム会議を行っています。そこでは、生徒の現状を把握すると共に、今、力を入れるべき学習が何かを全員で情報共有し、チーム全体で向かうべき方向を決めていきます。
たとえば、英語で合格点を取れていても、他の科目が足を引っ張り1点でも合格最低点を下回れば不合格となってしまいます。そのため、各科目の勉強量や内容を調整する必要があるのです。科目の担当講師ごとにバラバラに課題を出していては、受験生が学習できる適量をオーバーしてしまう可能性がありますが、チームで調整することで適切な学習量を提供できます。医学部入試は大学によって出題傾向や配点比率、難度が異なり、合否を判定するポイントも違います。合格する可能性をより高めるためにも、こうした科目ごとの細かい勉強量の調整が必要です。
──チーム体制は受験校選択にも有効だそうですね。
生徒の学力は科目ごとにばらつきがあり、英語はA大学の方が向いていても、数学はB大学の方が合っているということがよくあります。そのため、各大学の入試問題を把握した上で、科目ごとに生徒との相性をチェックし、チームでの議論によって最も合格の可能性が高い受験校を選び出し、必要な学習対策を講じられるのもチームだからできることです。
──「育む」という面の教育はどのように行っていますか?
日々の指導や一つひとつの業務すべてを、生徒を“育む"ことにつなげています。その一つが、面接指導です。医学部入試は、医師になることを前提とした就職試験です。そのため、すべての医学部で面接が課され、医師としての資質が問われます。一般的に、一次試験に合格しても面接や小論文からなる二次試験で不合格になる受験生が少なくありません。「人を診る」という医学部の本質に気づけば、面接がいかに重要視されているかご理解いただけると思います。一般的に、面接試験は二次試験なので、一次試験対策を優先し、面接指導を後回しにしがちです。しかし富士学院では、まず勉強に対する意識付けや将来医師として活躍していくために必要な資質を鍛えるため、入学直後から面接指導がスタートし、年間を通して何度も繰り返します。
また、新聞記事をテーマに要約したり、自分の意見をまとめたりする新聞視写を毎日実施することで、社会にも目を向け、自分の考えをもつ力を養います。こうした日常的な積み重ねによって、なぜ富士学院にいるのか、何を目指しているのかを自覚させ、医師になる自覚と覚悟を促します。受験生を本気にさせる、つまり医師を目指す強い意志を面接指導を通じて育むことで、モチベーションを維持させ、最後まで伴走するチーム指導を徹底しています。
──講師の質にもこだわりをもたれていますね。
富士学院では、出身大学や経歴だけで講師を採用するのではなく、すべての講師を4段階選考試験(書類選考・筆記試験・模擬授業・面接)を行って選抜しています。生徒目線に立って「教え育む」教育ができること、チーム体制についてどれだけ理解し、実行してもらえるかなどを厳しくチェックした上で、すべてクリアした人のみが富士学院の講師として指導できます。チームという体制だけ整えるのではなく、「教科力」+「指導力」+「人間性」を兼ね備えた教育者としての質を確保することで、チームとしての機能を果たすことができるのです。
予備校の枠を超え 高校や大学とも連携
医学部現役合格を目指すサポートの一環として、全国の高等学校と連携し「医学部入試研究会」や「校内医学部入試セミナー」も行っています。
──高校や大学との連携にも力を入れています。高校との連携はどうして必要なのですか?
富士学院の理念「育む」教育の一環です。高校側の期待としては、医学部受験に関する豊富で詳細な情報提供と、生徒のモチベーション強化が求められていると思います。
そのため、全国の高校と連携し、ご依頼があれば、生徒や保護者を対象に「校内医学部入試セミナー」を実施して医学部入試の現状を解説し、面接や小論文の重要性、合格に直結するポイント、合格事例などの他、医師になるための意識付け講座を行っています。
医学部を目指す生徒は限られます。そのため、医学部に特化した情報を、進路指導の先生がすべて把握して指導するのは困難です。富士学院は、全国10校舎直営という強みがあり、全国の医学部の最新入試情報を網羅して収集できるメリットがあります。それに加えて、これまで積み重ねてきた教育が、高校の先生方からご評価をいただいていると思っています。開催後のアンケートでは、「講演を通して子どもたちの心が変化した。医学部志望の生徒たちに、医学部を目指す覚悟が生まれた」などと好評をいただいています。
こうしたセミナー以外にも、高校の進路指導御担当教員向けの「医学部入試研究会」を富士学院の校舎単位で開催しています。また、県外から生徒と保護者、そして先生がバスで校舎見学に訪れた高校や、医学部志望者向けの保護者会を当学院で行う高校などもあり、予備校の枠を超えた積極的な取り組みを行っています。これもまた、目先の受験だけでなく、「良医を育成する」という目的があればこその活動です。
──大学との連携も盛んです。
大学からのご依頼を受け、各大学のオープンキャンパスで、その大学の入試問題の解答・解説を富士学院講師が行う「入試対策講座」を毎年行っています。2024年度は、東海大学、藤田医科大学、久留米大学で実施しました。さらに、昭和大学のご依頼を受け、医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部のすべての推薦入学者に行う「昭和大学入学前準備教育」という大学のカリキュラムを、毎年富士学院が担当しています。
「さらに大学や医学部教授のご協力で、医学部の模擬授業を各校舎で行うなど、受講生の医師になるための自覚や、やる気を促しています。
──医学部予備校の概念を超えています。
繰り返しになりますが、富士学院の目標は、医学部進学を経て良医になる人をより多く育てることにあります。つまり、全国の医学部志望者や医学生にも、良医への道を歩んでもらいたいのです。
現役生も利用できる専用食堂。 温かくて美味しい食事を一日三食提供しています。
合格したら終わりではない 「富士OB会」のサポート
──予備校でOB会があるのはめずらしいですね。。
医学部に入学しても、他の大学の医学生との交流はなかなかできないものです。しかし、富士学院で学んだという共通項で、全国の医学部に進学した仲間が集まれる機会があれば、初心に戻り、日々の医療や医学の勉強にまた取り組むことが可能です。
富士学院出身ではありませんが、富士学院の理念に賛同する順天堂大学特任教授の天野篤先生が「富士OB会」の顧問を務め、医大生向けの講演会や全校舎で「自立講座」を実施し、医師になるための覚悟や責任、医学部での学びについて講演していただいています。
──医学部志望者にメッセージをいただけますか。
将来、命と向き合う医師となった時に求められる倫理観や人間性は大切です。受験勉強と、将来医師になることを分けて考えず、今やっていることがいずれ患者を救う未来につながるのだと考えて努力してください。困ったことがあれば、富士学院がいつでも相談に乗ります。
※本記事は『日経ビジネス 特別版 WINTER.2025〈メディカルストーリー 入試特集号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。