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2019.06.20

【富士学院】
医学部志願者数が減少するこれからがチャンス

富士学院・坂本友寛学院長

ここ20年来、医師になることを目指す若者の数は年々増え続けてきたが、ここにきて医学部医学科の志願者数が減少傾向を見せている。志願者数は、この2年間でなんと1万2000名弱も減少。激変する今後の医学部受験について、全国直営8校舎を運営する医学部予備校大手の富士学院・坂本友寛学院長に聞いた。

近年、医学部志願者の減少が顕著

まず、国公立大学医学部の一般入試の志願者はここ数年減少傾向で2019年の志願者数は、25,571名で2018年から462名減少しました。

一方、増加し続けていた私立大学医学部医学科の一般入試の志願者数は、昨年から減少傾向に転じ2018年は92,051名で、約1,600名の減少となり、2018年から2019年はさらに約5,500名の志願者が減少しました。しかもこの数字には新たに増えた後期試験がカウントされていないため、実際には昨年で約3,800名、今年で約7,700名もの実質の志願者が減ったことになります。

この背景には、18歳人口の減少があり、さらに景気動向も影響しています。というのも医学部受験は、景気が悪いと資格を求めて志願者が増加する傾向がありますが、今は景気がバブル崩壊以降かなり持ち直しており、何よりも就職状況が好転しているため、無理をして医学部医学科を受験するケースが減ってきているのだと思います。

医学部志願者が大きく減少したことはその分当然合格しやすくなっており、その影響なのか今年度入試は補欠合格者の繰り上げ合格者が平年よりも多く見られ、なんと4月6日以降に繰り上げ合格をした受験生までいました。

もう一つ、2019年の入試で注目されたのは、昨年発覚した医学部不正入試問題への大学側の対応でした。今回、問題となったのが特定の受験者の優遇や、多浪生、女子志願者に対しての得点調整などが挙げられますが、文部科学省の指導もあり、2019年入試では適正化が図られ、その結果、女子と多浪生の合格者数が明確に増加し、特に多浪生の合格者増が顕著になりました。

「新テスト」採用によって生まれる大きなチャンス

来年度の医学部入試では、今年度以上に志願者の減少が予測されていることに加え、大学入試センター試験に代わり、2021年に「大学入学共通テスト」という新テストが実施されますが、その影響も大きく出ると考えられます。

いわゆる「新テスト」では、国語や数学でセンター試験にはなかった記述式問題が導入されます。英語では、リスニング試験の配点が高くなるなど、様々な変更が予定されています。しかも浪人生に対する経過措置が全くないため、「2020年の入試で結果を出せず浪人すると大きなハンディを背負う」など高校や予備校がかなり生徒にプレッシャーを与えているようです。

そうなると現役生も浪人生も2020年の入試で進学先を決めねばならないという思いが強くなり、来年度の入試が医学部を目指すラストチャンスと捉えて頑張っている受験生がこれまで以上に増え、受験レベルそのものはかなり上がるのではないかと見ています。

あとは仮に浪人した場合、来年からの新テストを敬遠して浪人せず他学部への進学者が増え、翌年の医学部志願者は、さらに大きく減少すると考えられ、逆に2021年の入試は、医学部合格を果たす上での大きなチャンスの年になると私は捉えています。

しかし、だからといって、医学部入試の難度が大きく低下するわけではなく、必死の努力が報われる可能性が高まるというレベルです。引き続き、十分な対策を立てなければならないことは、これまでと全く変わりません。

又、新テストについては必要以上に不安になる必要はなく、まず〝どこが変わり、どこが変わらないのか〟正しい情報を持つことが必要であり、対策をしっかり取れば、それほど心配になる必要はありません。

2021年度入試以降医学部合格のチャンスが更に広がる

2021年度入試以降医学部合格のチャンスが更に広がる

予備校の実績に関する 情報の真偽を確認する

医学部に合格するために、独学や一般の受験勉強だけでは、正直難しいものがあります。それは、医学部入試は医師になる人を選択する試験でもあり学力だけでは合格出来ない側面があるからです。

そうなると、予備校や塾選びも医学部受験の大事な一つと言われるほど、その選び方が重要となります。予備校や塾選びのポイントの一つに、合格実績があります。ただこの実績については、個人情報保護法によって、受験生個々人の情報をつまびらかにしにくいことをいいことに、予備校や塾でこの合格実績の出し方や見せ方に大きな違いや問題があります。

例えば、一次合格者なのか最終合格者なのか表示しなかったり、医学部医学科以外の合格者との区別が分かりにくいケースなどそれぞれの予備校や塾で様々です。加えて医学部進学者が大幅に減少し、年々予備校や塾の経営が厳しくなる中、今後はもっと自己に都合の良い表現をしていくのではないかと正直危惧しています。説明会や面談の際には、そうした真偽や中身をこれからはぜひ確認してほしいと思います。

「この数字は医学部医学科の最終合格者なのか?のべ人数なのか?実際に何人中何人が合格をし、医学部医学科へ進学したのか?」など具体的な質問をすることで、その予備校や塾の考え方や本質がしっかり見えてくると思います。

生徒のやる気を伸ばす予備校を選ぶ

一般的に、予備校や塾は、優秀な生徒を入学させることに全精力を費やします。入学時の学力が高い生徒が、そのまま医学部に合格するというパターンです。しかし優秀な生徒が集まったことによる医学部合格の実績が、本当にその予備校や塾の力と言えるのでしょうか?

予備校や塾の実力は、そこに通う1年間で学力をどれだけ伸ばしたかで本来評価されるべきです。

予備校選びで必要なのは、その予備校と縁をすることにより生徒がどう成長し、どう合格につながったのか!?つまり生徒の合格力をどれだけ鍛え伸ばせたのかが、最も重要なポイントです。大手予備校の実績も表面的な実績だけではなく、その具体的な中身も必ず見てほしいと思います。

次に、生徒が大きな成長を遂げるためには、予備校の講師陣が、生徒一人ひとりを十分に把握し、それぞれの生徒に最適な指導を行う必要がありますが、それ以上に大事なのが生徒の意欲そのものを飛躍的に高めることが最も重要です。

優秀な講師が一生懸命に指導をしても、本人に「学ぼう!」という強い意欲がなければ、医学部合格は望めません。そのために必要なのが、生徒一人ひとりと向き合って、意欲を喚起できる予備校の存在です。

予備校や塾の教育の質を把握するのに一番最適なものは合格体験記です。合格体験記を読めば、その予備校や塾がどれだけ合格に関与したのか、又、生徒一人ひとりが予備校時代にどれだけ成長したのか、感謝の度合いなど臨場感をもって理解することができます。

富士評判ドットコムでは合格体験記や保護者メッセージその他OB医大生やドクターのメッセージが満載!生徒の生の声が聞けます。

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医学部で学ぶ能力と心構えを育てるのも予備校です

学ぶ意欲は、医学部に入学して以降の勉学にも実は大きく影響を及ぼします。近年、医学部の勉学には、「教えられる以上に学ぶ」という姿勢が、より強く求められています。この学ぶ姿勢は、医学部入学後にも更に自学自習に励み、医療業界が求める様々な能力を自ら身に付けるためにも必要なのです。

2019年入試では、多浪生の合格が目立ったと言いましたが、医学部医学科が、多浪生を敬遠しがちな背景には、多浪生には、医学部に入ることが目的になっていて、合格後に燃え尽き症候群に陥る例が少なくないという事実があります。そういうこともあり大学側は、多浪生を暗黙のうちに避ける傾向にあったのかもしれません。

そういう中、私たち富士学院は、講師や職員が一つのチームとなり、受験生との日々の交流の中で、医学部に合格するだけではなく、その先の医師になるまでの道筋をしっかりと認識できる指導を行っています。「医学部合格がゴールではなくスタートライン」ということを強く意識させ、りっぱな医師として活躍できる人材の育成にも全力をそそいでいます。

医学部受験は医学部の入試に合格することがまず大前提ですが、それだけではなく医学部に合格後から始まる医学の修得に全力を傾けられる人材を育てることも予備校には求められています。医師を目指す方は、ぜひそういう予備校や塾を探してほしいと願っています。

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 SUMMER.2019年6月〈メディカルストーリー 教育特集号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

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