まず、国公立大学医学部の一般入試の志願者はここ数年減少傾向で2019年の志願者数は、25,571名で2018年から462名減少しました。
一方、増加し続けていた私立大学医学部医学科の一般入試の志願者数は、昨年から減少傾向に転じ2018年は92,051名で、約1,600名の減少となり、2018年から2019年はさらに約5,500名の志願者が減少しました。しかもこの数字には新たに増えた後期試験がカウントされていないため、実際には昨年で約3,800名、今年で約7,700名もの実質の志願者が減ったことになります。
この背景には、18歳人口の減少があり、さらに景気動向も影響しています。というのも医学部受験は、景気が悪いと資格を求めて志願者が増加する傾向がありますが、今は景気がバブル崩壊以降かなり持ち直しており、何よりも就職状況が好転しているため、無理をして医学部医学科を受験するケースが減ってきているのだと思います。
医学部志願者が大きく減少したことはその分当然合格しやすくなっており、その影響なのか今年度入試は補欠合格者の繰り上げ合格者が平年よりも多く見られ、なんと4月6日以降に繰り上げ合格をした受験生までいました。
もう一つ、2019年の入試で注目されたのは、昨年発覚した医学部不正入試問題への大学側の対応でした。今回、問題となったのが特定の受験者の優遇や、多浪生、女子志願者に対しての得点調整などが挙げられますが、文部科学省の指導もあり、2019年入試では適正化が図られ、その結果、女子と多浪生の合格者数が明確に増加し、特に多浪生の合格者増が顕著になりました。