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医学部入試概況

2019.03.05

【医学部受験最前線】学力はぎりぎりまで伸びる自信を持って入試に立ち向かおう

学力はぎりぎりまで伸びる自信を持って入試に立ち向かおう

本番までいよいよ残りわずかとなってきた。この時期にいかに過ごすかが、合否の分かれ目になる。 ここ10年の医学部の動向から最新情報、入試に向けた勉強の仕方やメンタルの保ち方、出願の準備などを、駿台予備学校市谷校舎(医学部専門校舎)の宮辺正大校舎長に聞いた。 健康に十分気を付けて、あと1ケ月、悔いのないようにがんばってほしい。

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 WINTER.2019年1月〈メディカルストーリー 入試特別号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

一年で最も忙しい時期スケジュールを立て直す

 新しい年が明け、受験生にとって今まで重ねてきた努力を発揮するときが来た。多くの受験生を合格に導いた、駿台予備学校市谷校舎(医学部専門校舎)・宮辺正大校舎長は言う。
「医学部受験生にとって、大学入試センター試験(以下・センター試験)から国公立大学の「個別(二次)試験」まではやるべきことが多く、精神的にも肉体的にも最も過酷な時期です。この時期を上手に切り抜けることが、合格に近づくポイントになります」
 スケジュールを確認しよう。今年のセンター試験は1月19日と20日に実施された。その後自己採点をし、結果を見て出願先を決め、志望校の対策に取りかかる。私立大学を併願する生徒は、その対策にも着手しなければならない。その間、願書の提出や遠方の大学ならホテルや切符の手配など、やるべきことが山のようにある。
 宮辺校舎長は、センター試験が終わった時点で、勉強のスケジュールを組み直すことを勧めている。
「センター試験が終わり、出願先が決まればある程度方向が見えてくる。また、試験が近づいてあせる気持ちも、やるべきことが決まれば落ち着きます」

願書は複数取り寄せる体調管理はしっかりと

 国公立大学の志望者は、センター試験の結果で出願先を決める。予備校に通っていれば面談などでアドバイスがもらえるが、そうでなければ学校の先生に相談したり、ネットで合格判定の検索をして志願先を検討したりする。センター試験のできによっては、志望先を変えなければならない場合も出てくる。
「今まで考えてもいなかった大学に出願することもあります。そこで願書は幅を持たせて、複数取り寄せておくことお勧めします。たとえば、これくらい点がとれたら〇大学、これくらいだったら△大学と、シミュレーションをして事前に用意しておけば、センターが終わった後にゆっくり考えて、そのなかから出願できます」
 最近ではネット出願を導入している大学が増えているので、確認しておこう。
 この時期に一番大切なのは、体調を整えることだ。一年でいちばん寒い時期だけに、風邪やインフルエンザにはくれぐれも要注意。インフルエンザワクチンは、受験生の必需品だ。夜型の人は、朝型にシフトしておく。保護者は必要以上にナーバスにならずに、受験生には普段通りに接しよう。
「本校の生徒に取ったアンケートでも、保護者には普段通りでいて欲しいという答えが一番多かった。試験が終わるたびに、どうだったかと聞くのもタブーです。おいしい食事を作ったり、体調に気を配ったり、遠方の受験なら早めに条件の良いホテルやチケットの手配などを行うことで、子どもを支えましょう」

本番に即した勉強を直前まで苦手をチェック

 今年度のセンター試験は曜日の関係で後ろ倒しになり、翌々日の22日からは私立大学の国際医療福祉大学、愛知医科大学の一次試験が始まる。センター試験から一転、頭を切り換えて私立大学の一般入試や国公立大の二次試験に向けた勉強にとりかからなければならない。
「この時期だったら、志望校の対策に集中します。過去問を解いて解答を照らし合わせ、自分の解答を正答に近づけるように練習しましょう。特に苦手な分野は、過去問の類似問題などもあたって克服するようにします」
 本番に向かって不安が募る時期でもあるが、ほかの受験生も同様だ。不安があるのは当然と割り切り、今まで重ねてきた努力を振り返って自分を信じることが大切だ。不安に思っている教科があれば、試験の直前まで粘って復習しよう。
「生徒からは、最後に見たテキストから試験に出たという話も聞きます。その一問が合否を左右する可能性もあります」
 これから願書を提出する受験生に、次のようなエールをおくる。
「この時期では、まだ現役生は発展途上。もう浪人ができないという既卒生は慎重に合格圏内の大学を選ばなければなりませんが、現役生ならC判定やD判定でも、今後の勉強次第で合格できる可能性があります。つい弱気になってA判定やB判定の大学に変えたくなりますが、第一志望なら勉強のモチベーションも上がる。ご家庭の事情などいろいろあるでしょうが、悔いのない選択をしてください」

面接の前にHPを確認求められる答えも想定

 私立大学は、ほとんどの受験生が複数校併願する。入試は一次二次と複数日に渡るため、スケジュールをきっちりと立てておくことが肝心だ。本命の受験日に自分の一番いい状態で臨むために、受験日の前日を一日明けるなど日程調整を行う。私立大学の場合、受験者が多いため、入試会場が五反田TOCビルや幕張メッセなどに設けられることが多い。
 「初めて受験する生徒にとって、慣れない環境で何千人という受験生と試験を受けるのは、相当過酷な環境です。いくら大勢いても実際に勝負になる受験生はそれほど多くありません。自分は合格するメンバーに入っていると暗示をかけて臨みましょう」
 学科試験が終わったら、面接も受験する大学のやり方に従い、本番を想定して練習しておこう。志望先を変更した場合には、大学のホームページを見て、アドミッションポリシーなどをチェックしておく。地方の大学を受ける時には、医師不足や土地に多い疾患など、その地域特有の問題を把握して臨むことが大切だ。
「事前に基本的な医学トピックスは勉強しておくべきですが、面接でわからないことを聞かれたら中途半端に答えないことです。大学に入ってからしっかり勉強しますという姿勢を示すことができれば大丈夫です。情報誌などで大学の傾向を把握して、事前にこう聞かれたらこう答えようと、シミュレーションしておけばいいと思います」
 なかには答えにくい問いもあるが、ありのままを正直に言うのではなく、ある程度は面接官の意図を汲んで答えを用意することも賢明といえる。今までの総仕上げとなるラストラン、悔いのないように万全の体制で臨もう。

国の政策で定員が急増ここ数年は減少傾向

 医学部はここ10年のスパンで、定員が急増している。文部科学省は医師不足改善するため、06年に「新医師確保総合政策」を、07年に「緊急医師確保対策」を決定した。そのため08年から医学部の募集定員が増加。07年から18年までの11年間で1800人あまり増え、門戸が広がって受験者数も一気に上昇した。
 2011年に起きた東日本大震災の影響で東北地方の医師不足が深刻になり、16年には宮城県仙台市に東北医科薬科大学に医学部が新設された。1979年に琉球大学に医学部が設置されて以来、37年ぶり。続いて翌年には、千葉県成田市の国際医療福祉大学に医学部が設置された。同大が注目されたのは、6年間の総額が1850万円という破格の学費だ。
「この学費の安さは、かなりインパクトがありました。受験生の選択肢が広がり、今まで手が届かなった家庭でも手が届くようになりました」
 一方で、医学部自体の人気も上昇している。08年に起きたリーマンショックを経て、安定した職業を目指す実学志向が高まり、優秀な生徒が東京大学や京都大学などの難関大から医学部へシフトしている。女性の社会進出が進んだ影響も大きい。女子の方がより実学志向が強く、女生徒のトップ層が収入も社会的地位も高い医師を志したことで、医学部の人気が高まった。また「人のために役立ちたい」という志を持つ若い人が増え、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授の活躍も大きな影響を与えた。
 ここ数年は、特に首都圏で私立大学の人気が高まっている。大きな要因は相次ぐ学費の値下げだ。2008年に順天堂大学が6年間で学費を900万円下げたことを皮切りに、次々と値下げが続いた。今では女生徒を中心に、地方の国立大学を蹴って、首都圏の私立大学に進学する受験生も増えている。
 ただしここ数年は、志願者が減っている。駿台予備学校の模試でも、医学部志願者が前年比95%と、5ポイント減少した。特に首都圏でその傾向が強い。
「就職状況が好転し、それほど医師にこだわる人が少なくなってきたからだと思われます。ただし、地方や西日本はまだまだ医学部志向が強い。首都圏ほど職業選択の幅がないので、ステータスの高い職業としてトップ層に依然人気があります。難関であることには変わりありませんが、倍率が緩和されてチャンスは広がっている。医師を志望する生徒は、ぜひチャレンジしてほしいですね」
 

本番に即した勉強を直前まで苦手をチェック

 来年受験を控えている生徒は、まずはセンター試験対策をしっかりやっておく。センター試験の得点率は85%以上、旧帝大などの難関大学は90%以上でないと合格が難しい。このラインを突破するためには、苦手科目をなくすることが必須だ。宮辺校舎長によると、センター試験の出来がいい生徒は、おおむね二次試験も得点出来ているという。私立大学を狙う場合も5科目履修した生徒は、一般試験にもしっかりと対応できているという。
「センター試験でこれだけ高い得点が求められると、得意科目で苦手科目をカバーできる範疇を超えています。まずは苦手をなくして全教科でまんべんなく点数をとれるようにすることです。二次試験は確かに難しいですが、基礎となるセンター試験がしっかり取れていれば、二次試験にも立ち向かえる。センター試験を甘く見て二次試験対策に集中し、二次に進めなかった生徒もいるので、油断は禁物です」
 センター試験は通常、初日に文系科目の地理歴史・公民・国語・外国語が、翌日に理系科目の理科①・数学①・理科②・数学②が行われるが、医学部受験生にとって、この日程がネックになっている。
「基本医学部は理系なので、国語でつまずく人が多い。うまく点が取れなかった生徒のなかには、落ち込んで翌日までネガティブな気持ちを持ち越す受験生もいます。それを持ち越さないためには、1日目を終わった時点ではまだ自己採点をしないこと。2日目が終わった後で、まとめてやりましょう」
 マークミスをする生徒は意外に多く、駿台予備学校の模試でも正確に自己採点できるのは数%だという。自己採点の精度が低いと二次試験に進めなかったり、逆に志望校よりも低い大学に出願してしまったりなど齟齬を来してしまうので、センター試験本番の前にマークテストの練習をしておいたほうがいいだろう。
  再来年以降に受験を迎える生徒は、2020年に始まる入試改革が気になっていることだろう。「医学部の入試が、それほど大きく変わることはないでしょう。共通テストの国語と数学に記述が入ってきますが、もともと医学部の入試は記述が多いので、共通テストにも十分対応できるでしょう。これから医学部をめざす人は、まず学校の勉強をしっかりやってほしい。学校の勉強、プラスαで予備校を利用していただければいいと思います」

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「いい医者」をめざし、「医学部合格」のその先へ。

 


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