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医学部入試概況

2019.06.20

【埼玉医科大学】
地域の中核医療を担い高い技術と意欲を持った人材を育成

1972年の開学以来、4000名以上の卒業生を送り出してきた埼玉医科大学。
その99.0%が医師国家試験に合格し、医師となって我が国の保健・医療・福祉の分野で活躍している。
患者中心の医療を実践できる「すぐれた医療人」とは。
卒業生に、学生時代を振り返ってもらった。

埼玉医科大学  国際医療センター  救命救急科 坂本 真希 さん

埼玉医科大学 国際医療センター 救命救急科 坂本 真希 さん

埼玉県神川町出身。秀明学園秀明中学校・高等学校を卒業後、2008年埼玉医科大学入学。大学ではバスケットボール部に所属。2015年より埼玉医科大学国際医療センターで研修をはじめ、2017年4月より救命救急科入局。

基本的な臨床能力を確実に身につける

――坂本さんが医師を目指すようになったきっかけを教えてください。

坂本 父親が医者で、一人っ子だったこともあり、ものごころついた頃から漠然と「医者になる」と考えていました。進路として意識したのは中学に入った頃でしょうか。

埼玉医科大学は、地域医療を担う存在だと認識していましたし、なじみ深かったことから進学先に決めました。受験では第一志望であったため、推薦入試で進学しようと思い、中学・高校は皆勤、中学ではブラスバンド部で部長を務め、高校では陸上やボランティア活動にも取り組みました。

――埼玉医科大学での学びについてお聞かせください。

坂本 埼玉医科大学は、建学の理念として「生命への深い愛情と理解と奉仕に生きるすぐれた実地臨床医家の育成」「自らが考え、求め、努め、以て自らの生長を主体的に開展し得る人間の育成」「師弟同行の学風の育成」の3つを掲げています。

最初に「実地臨床医家」の文言がきていることからもわかるように、救急医療や災害医療にも対応できる、しっかりとした臨床能力を身につけた医師の育成に力を入れています。

実践的なカリキュラムで考え、判断する力を磨く

――実際のカリキュラムはどんなものでしょう。

坂本 座学だけではなく、症例を通して問題解決の筋道を考える「臨床推論」や、臨床の現場で患者さんと接しながら学ぶ「BSL」など実践的な内容が多かったです。

また、看護師や診療放射線技師、理学療法士などコメディカルスタッフと一緒に学ぶ授業もあり、チーム医療ではコミュニケーションが重要だと実感しました。そこでは、部活動での経験が役に立ちました。

――地域医療について学ぶ機会も多いそうですね。

坂本 4年次の「地域社会と健康」(現「地域医療とチーム医療」)では、地域社会における保健・医療・福祉・介護の現状を把握し、専門職種との連携や地域医療の重要性について学びます。

さらに6年次のクリニカル・クラークシップ(臨床実習)では、必ず地域の医療機関で実習を行うことになっており、地域のクリニックで在宅医療や訪問診療に携わったり、地域の基幹病院で救急医療や外来を担当しながら、全員が地域医療の実態に触れるようになっています。

――埼玉医科大学で良かったと思われたことは?

坂本 学生時代は医大生の大部分が毛呂山に住んでいて、全員がチームのようでしたね。先生方との距離も近く、実習はもちろん国家試験に向けても手厚いサポートがありました。

5年次に虎の門病院で実習を行ったのですが、様々な症例に関わることができたことに加え、いろいろな大学の実習生と接する中で、埼玉医科大学の良さも再認識しました。

24時間365日体制で救急車を断らない医療に挑む

――現在の仕事について教えてください。

坂本 救命救急センターで臨床研修を行い、2017年に後期研修医として入局しました。救命救急センターは、国内最高水準の救急医療を提供するセンターとして運営されており、24時間365日体制で患者さんを受け入れています。

センターの目標は「救急車を断らないこと」。搬送されてきた患者さんの症状を瞬時に判断し、速く確実な処置を施す。他の診療科とも連携しながら、日々患者さんのために最善を心がけています。

――仕事で意識されていること、やりがいは?

坂本 救命救急医を志望したのは、観察し診断を下すことと、手を動かし処置をすることの両方に携われるからです。また救命はスピードが要求されますから、素早い判断・対応のための第六感を鍛えられると思ったからです。

救命救急の場合、搬送されてきた時点では意識がない患者さんがほとんどです。その患者さんが意識を取り戻したときに、笑顔で「大丈夫ですよ」と言えるように見守りたい。そして患者さんが歩いて帰っていく姿を見ることが、仕事の大きなやりがいですね。

――仕事を通して、ご自身の成長を実感されることはありますか。

坂本 最初の頃は、「胆嚢炎の患者さん」という具合に患者さんを病気や症状でとらえていました。

ただ、私にとっては大勢の患者さんの中の一人でも、患者さんにとって私はたった一人の主治医だと思うようになり、患者さんの人生や、家族の存在など、背景にあるものを理解した上で、対応や声かけをすることが大事であると考えるようになりました。

医師としての考え方が「病気を治す」から「人を診る」に変わったことで、一つ上のステージに上がれたと思っています。

埼玉医科大学国際医療センター

埼玉医科大学国際医療センター

埼玉医科大学国際医療センターは大学病院で日本初のJCI(国際病院評価機構)認定病院となった

埼玉医科大学国際医療センターは大学病院で日本初のJCI(国際病院評価機構)認定病院となった

医師を救急現場に運ぶドクターカー

医師を救急現場に運ぶドクターカー

多くの人と関わりコミュニケーションを磨け

――今、医師に求められているものはなんでしょう。また、そのためにどんな経験をしておいて欲しいとお考えですか。

坂本 一番大切なのはコミュニケーション力ですね。今の医療はチームで協働して、一人の患者さんを支えるスタイルで行われており、医師一人で全てができるわけではありません。

看護師をはじめとするコメディカルスタッフ、さらに患者さんやご家族とも対等な立場で考え、行動することが必要になります。

治療という目的意識を全員で共有し、その過程を話し合う。そうしたコミュニケーション力を身につけるためには、部活やアルバイトなど、積極的に人と関わることを意識して欲しいと思います。

――今後の抱負をお聞かせください。

坂本 自分の引き出しをもっともっと増やしたいですね。いろいろな患者さんに接するとともに、救命救急センターの先生方はもちろん、他の診療科の先生方にも教えを請い、幅広く患者さんを診られる医師になりたいと思っています。

救急の仕事を通じて埼玉県の医療を支えているという強い使命感を持ち、自分自身もさらなるスキルアップを目指します。

――これから医師を目指す受験生・保護者にメッセージをお願いします。

坂本 入試を突破するには、やらなければならないことがたくさんあるでしょう。不安になることもあると思いますが、学力は勉強に取り組んだ時間と内容に比例します。努力は決して裏切りませんから、自分を信じて頑張って欲しいですね。

また、医学部を目指す人には、医師になるという強い意思と自ら学ぶ姿勢を持ってもらいたいですね。身につけるべき医学知識はどんどん増えており、私も自分の理想の医師像を目指して一生勉強を続ける覚悟でいます。共にこれからの医療を担っていきましょう。

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 SUMMER.2019年6月〈メディカルストーリー 教育特集号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

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