医学部に強い中高
2024.07.04
【暁星中学・高等学校】 自由で伸び伸びとした学生生活を通して 確かな学力と豊かな人間性を育む
キリスト教の理念に基づく教育により、他者への思いやりの心を育み、多くの卒業生が国内外を問わず広く社会で活躍している暁星中学・高等学校。毎年多くの生徒が医学部を目指しており、高い医学部進学実績を誇っている。今春現役で医学部に入学した卒業生2人に、暁星での日々を振り返ってもらった。
【写真左】 北里大学医学部1年 荒井 洸一郎 さん
【写真真中】国語担当 伊藤 卓斗 先生
【写真右】 東京医科大学医学部1年 齋藤 稜人 さん
社会とのつながりを 意識させる教育
――齋藤さんは幼稚園から、荒井さんは小学校から暁星だそうですね。当時の思い出は?
荒井 小学校入学前、当時6年生の先輩が受験生を案内してくれたんです。話も上手ですごくしっかりしていて、「僕も6年生になったら先輩みたいになりたいな」と思ったことを今でも覚えています。小学校時代は、休み時間になると一番に外に出ていくような子どもでした。やんちゃであばれまわっていたけれど、先生方は温かく見守ってくださって。本当に楽しかった思い出しかないですね。
齋藤 荒井君と同じように「面白かった」というのが正直な感想です。1学年の人数もさほど多くないので、すぐに全員と仲良くなりましたし、男子ばかりの自由な雰囲気の中、のびのびと過ごした記憶があります。一方で“暁星健児”のモットー通り、文武両道でハードだった印象もあります。特に精神面を鍛えられました。
――中高時代はどんな学校生活を過ごされていましたか。
荒井 僕は化学部で活動しており、高2では部長を務めました。また体育の授業をきっかけに柔道の朝練に参加し、学内で初段を取得。他にも乗馬やフェンシングなど、興味があることにいろいろチャレンジした中高時代でした。
齋藤 僕は部活ではないですが、ずっと水泳を続けており、高3の春まで週3回練習していました。大学でも水泳部に入って活動しています。
――勉強と学校生活をどう両立されていたのですか。
荒井 部活は「好き」という気持ちがあるから続けてこれたと思います。柔道は今思うと礼の精神やメリハリのつけ方が、受験の時にも役に立っていたような気がします。勉強面では、テスト1週間前からは周りの人に教えるため、自分の勉強はその前に終わらせるようなスケジュールを立ててやっていました。
齋藤 僕はゲームが好きで、テスト前だからと言ってゲームをしないという生活はしたくなかった。そのため、毎日コツコツやることを意識していました。たとえば古文の単語のテストに向けて1日1語ずつ覚えていくとか。動機は不純ですが(笑)。
――先生方の印象は?
齋藤 とにかく先生との距離が近いですね。どの先生も熱心で丁寧に指導してくださいました。特に印象深いのが、中3からお世話になった暁星OBでもある化学の先生。授業では生徒自身に考え発言させる場面が多く、みっちり指導してくださいました。僕が化学を好きになったのは、先生の影響が大きいです。
荒井 僕も先生のおかげで化学が得意科目になりました。また授業のなかで「人として大事なこととは何か」とか、ためになる話をいろいろしてくださいました。他の先生方も、生徒のことを一番に考えて授業を工夫してくださいましたし、生徒をやる気にさせるのが上手で、うまくのせられて勉強を頑張った気がします。
都心にありながら、人工芝のグラウンド2面を完備
キリスト教精神が 自然に身につく環境
――暁星はキリスト教の理念に基づいた人格形成が特徴ですね。
荒井「宗教」の授業があり、聖書の言葉やミサはいつも身近にありました。人と接するうえで大切なことなど、自然に身についていると感じます。医師をめざすうえでも大事なことを学べたと思っています。
齋藤 僕も授業を通して人としての基本=黄金律が自然に身についたと思います。自分の行為をひけらかすのはよくないといった価値観は自分のなかにありますね。
――フランス語を学べるのも特徴ですね。
齋藤 中学の3年間、フランス語は必修でした。第二外国語でフランス語を選択していますが、基礎を学んだことが今役に立っています。
荒井 僕も第二外国語にフランス語を選びました。齋藤君と同じようにフランス語の素地があることのメリットを感じると同時に、大学でフランス語を担当している先生と暁星の先生が知り合いで、「〇〇先生に教わった」と言うと先生が親しみを持って接してくれています。その分ハードルは高くなりますが(笑)。
ミサの様子
医学部をめざす仲間の存在が いい刺激を与えてくれた
――医学部をめざされたきっかけを教えてください。
荒井 もともとは獣医志望だったのですが中3のとき、骨盤骨折の治療を担当してくださった先生との出会いをきっかけに、医師をめざすようになりました。将来は研究医としてアレルギー系の治療に取り組みたいと思っており、その分野に強い北里大を選びました。
齋藤 幼稚園の年長のときに曽祖父が亡くなり、「死」を身近に感じたことが遠因です。当時、周りの人に「誰も死なない薬を作りたい」と言っていたようです。中学になり、改めて医学部をめざすことに。東京医大を選んだのは、希望すれば1年から研究室に所属することができるなど、能動的に学べるところが自分に合っていると思ったからです。
――暁星には医学部をめざす生徒が多いですがその影響はありましたか。
齋藤 一緒に勉強するといった具体的なものがあったわけではないのですが、仲間がいるという安心感と、「自分も頑張るぞ」というモチベーションになったのは確かですね。
荒井 僕もいい意味で刺激を受けていました。競争心というよりも、「同じ目標に向かって頑張ろう」という感じでしょうか。推薦枠の取り合いなどでギスギスすることもなく、人にあたることもなく、最期までみんな仲良く楽しく授業を受けました。
齋藤 高3の昼休み、職員室の前でみんなで「だるまさんが転んだ」をやったんですよ。先生に怒鳴られましたけど(笑)、一緒になってバカをやれる仲間、卒業してからもほぼ毎日連絡をとりあえる仲間と出会えたのが嬉しいですね。
荒井 6年間近い距離で付き合ってきたから、本心を隠す必要がないんですよ。先輩たちを見てて暁星愛の強さを感じてましたが、卒業するとその気持がよくわかります。
OBの医師の集まり「暁星医会」の支援イベントで、人工皮膚を使用した外科吻合や胸骨圧迫を体験
――OBとのつながりも深いですよね。
荒井 高2の『ようこそ先輩』というセミナーで、OBの医師の先輩が話をしてくださったのが印象深いです。暁星での思い出話から始まり、大学での学びや経験、医師としての日常についての具体的な話を聞くことができ、医学部への思いが一層強くなりました。また、暁星OBの医師の集まりである「暁星医会」もあります。多くの先輩医師として活躍されている暁星ならではだと思います。
齋藤 OBの話のなかで、特に医師になった後の話が興味深かったです。医学部に入って終わりではない、そこからがスタートだと肝に銘じました。また大学に入ってから、「暁星出身だって?」と先輩に声をかけてもらうこともあり、暁星を意識することもありますね。
――改めて暁星の魅力は? あわせて後輩にメッセージをお願いします。
荒井 生徒一人ひとりに必ず居場所があり、それぞれがめざすものに向かって進んでいける。素直に伸び伸びと成長させてくれる学校だと思います。知識だけでなく、医者として必要な考え方や優しさ、仲間思いといった情緒も育まれ、社会に出るための準備期間を暁星で過ごせて本当によかったです。皆さんも友達を大切にし、自由に伸び伸びと過ごしてください。
齋藤 生徒同士はもちろん先生との距離も近いのが暁星のいいところだと思います。一生付き合える友人とも出会えます。後輩の皆さんも、やりたいと思ったことはなんでもチャレンジしてください。成功も失敗もたくさん経験して、自分なりの楽しみ方を見つけて欲しいですね。
2024年医学部合格実績(卒業生153名)
※本記事は『日経ビジネス 特別版 SUMMER.2024〈メディカルストーリー 教育特別号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。