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2022.01.13

医学部入試の特徴から勉強法、志望校選びまで…医学部突破をめざすための基礎知識(後編)

医学部受験の難易度や、医師になるために必要な素養、大学タイプ別の特徴など、医学部入試にまつわる素朴な疑問は多いだろう。医学部合格をめざすために持っておきたい基礎知識について、代々木ゼミナール教育総合研究所教育情報企画推進室の副部長を務める川崎武司さんに聞いた。

代々木ゼミナール教育総合研究所教育情報企画推進室 川崎武司副部長

志望校選びの際はまず、各大学の教育内容をチェックしよう

志望校選びの際は、まず、自分がどんな医師になりたいのか、どんな分野を勉強したいのかを考え、その目的に沿った大学を候補に選ぶことをおすすめします。最初から入試倍率や偏差値だけを見て選ぶのは、志望動機が薄くなり、やる気にもつながりにくいため、避けた方がよいでしょう。ひと口に医学部といっても、大学ごとに教育内容や特色は大きく異なります。その大学の強みや教育内容を知ることが、志望校選びの第一歩になります。

 

志望校がある程度絞り込めたら、オープンキャンパスやオンライン相談会などに参加してみるのもいいでしょう。各大学の雰囲気をつかんだり、現役医学生に話を聞くことができたりするなど、よりリアルな情報を集めることができます。

 

国公立大学と私立大学では、受験に必要な科目数が異なります。国公立大学では、一部の入試方式を除き、共通テストの受験が前提になるため、共通テストで必要な科目+2次試験の対策が必要です。科目数が多い反面、倍率は低めに出る傾向があります。国公立大学の受験において、共通テストの成績は、非常に重視されます。たった「1点」の差が合否を分けることも考えられるため、きちんとした対策が求められます。点数の換算方法は大学によって大きく変わるため、事前に確認しておくことが大切です。

 

国公立大学の2次試験の科目は、英語・数学・理科2科目の4科目型が定番ですが、3科目型、5科目型で行う大学もあります。ただし近年は、2次試験の内容を重視する傾向があるため、試験科目や配点の変更がないか、注意しておきましょう。

 

私立大学の一般選抜のみを受験し、共通テストを利用しない場合、必要な科目数は少なくなりますが、倍率は極めて高くなります。さらに共通テスト利用選抜を視野に入れる場合は、その対策も必要になります。

 

国公立大学の後期日程入試(2022年度入試は17校)と私立大学の共通テスト利用選抜(2022年度入試は17校)は、例年、高倍率・高難易度になる傾向があります。特に国公立大学に関しては、後期日程入試はあくまでも最後の手段と考え、「前期日程一発勝負である」という意識をもって対策しましょう。

 

また、「学費」についても、志望校選びの際には見逃せないポイントでしょう。国公立大学の6年間の学費(標準額)は、約350万円。私立大学の6年間の学費は、平均3,000万円超です。自分の家庭ではどんな選択が可能なのか、国公立大学を第一志望にする場合も、私立大学の併願受験はできるのかなど、家族で相談しながら慎重に検討していく必要があります。

 

次に紹介するように、志望校の選択次第で、勉強すべき内容や範囲は大きく変わります。つまり、受験パターンをなるべく早い段階で決定することが、試験突破のカギになるといえるでしょう。

大学によって違う教育理念やカリキュラム

ひと口に国公立大学、私立大学と言っても、大学ごとにその特色や強みは異なります。ここからは、こうした特色ある取り組みの一部を紹介していきます。

 

国立の総合大学には、1年次には他学部と同様に、教養科目を学習するカリキュラムを組んでいる大学が多くあります。1・2年次から教養科目・基礎医学を中心に学ぶことを基本とする単科大学や私立大学に比べ、より幅広い学びに触れることができるという特徴があります。

 

単科大学や私立大学では、1年次から時間をかけて専門科目を学んでいくため、医師国家試験や多くは4年次に行われるCBT(医療系大学間共用試験)などの対策に時間を割くことができます。学ぶべきカリキュラムは、どの大学でも同じですので、国立総合大学の医学部生は、一般教養も含め、必要単位を6年間で計画的に修めることが必要になります。

 

こうした話を聞くと、デメリットばかりが強調されるようですが、キャンパス内に他学部が存在する国立総合大学には、他学部学生との交流を盛んに行うことができるというメリットがあります。医師になれば、老若男女、多種多様な患者に対応することになりますから、大学生のときからさまざまな考えに触れ、社会性を育むことができる環境は、医師をめざすうえで大きな利点になります。

 

学習内容については、大学ごとに特徴があり、都市部または地方にあるのかといった立地や、附属病院があるか否かなどによって強みが異なります。例えば、横浜市立大学は地域医療教育が充実しています。また、総合大学の枠からは外れますが、歯学部と併設されている東京医科歯科大学では、身体全般の病気と口(歯)の病気をリンクさせた研究を行っています。

 

地域に根ざした医学教育を展開する「地域密着型大学」の代表としてあげられるのが公立大学で、横浜市立大学もその一つです。大学の設置自体が、「地域密着」という理念のもと、都道府県に一つ医学科をもつ大学をつくろうとすることからスタートしています。附属病院があるかどうかや、土地ごとの状況により、カリキュラムはそれぞれ異なりますが、首都圏よりも地方の方が、特色ある講義を行っている場合もあります。

 

地元高校との連携が強い傾向にあることも特徴です。例えば、北海道札幌市にある国立の北海道大学医学部と、公立の札幌医科大学では、地元高校と連携し、「メディカル○○○」といった名称の講義やキャリア教育を行ったり、公開講座を開催したりしています。この背景には、医療という仕事を高校生にしっかりと知ってもらうことで大学や仕事とのミスマッチを避ける目的があるほか、他の地域への人材流出を防ぐねらいもあるようです。

 

特別な目的のために設置された大学校や私立大学もあります。学費の免除がある一方、卒業後の進路に一定の条件が設けられています。

 

防衛省管轄の防衛医科大学校は、医師資格をもつ自衛官を育成することを目的とした学校です。入学と同時に防衛省の職員となるため学費はかからず、毎月、学生手当が支給されます。カリキュラムは一般の医学部と同様ですが、学生は全員が校内の学生舎で生活します。卒業後は、自衛官として勤務する義務が発生します。

 

福岡県北九州市に設置されている産業医科大学は、「産業医」(事業所で働く人の健康を維持・増進する業務に携わる医師)を養成する目的で設置された私立大学です。卒業後に、産業医として決められた年数勤務することで、貸与された学費の返還義務が免除されます。

医学部合格は決してゴールではない

志望校選びの際、「偏差値」に着目にする人は多いかもしれません。しかし、偏差値のみで志望校を選ぶことはおすすめできません。偏差値とは、模試などの結果に基づき、各大学の難易度を数値化したものです。そのため、受験生のレベルや受験者数などにより、数値が大きく変わる可能性もあります。ある母体の中での学力の立ち位置を示したものに過ぎないため、ひとつの目安程度に考えておきましょう。

 

これは、各種模試の結果として算出される自分の偏差値についても同様です。例えば、高校3年次の模試では、偏差値が低く出る傾向があります。これは、現役生のみが受験する高校1・2年次の模試と異なり、高校3年次の模試には既卒生も参加するためです。

 

こうした傾向を踏まえると、模試の結果で一時的に偏差値が上下したからといって、安易に志望校を変えるのは避けたいもの。特に入試直前期における変更は、受験生にとっては大きなダメージにつながります。モチベーションも下がりかねないため、目の前の数字だけに左右されず、慎重に検討する必要があります。

 

医学部に合格すると、医師になるまでの道のりが、本当の意味でスタートします。医学部受験と医学部での6年間は、医師になるまでのワンステップに過ぎません。このハードルを突破すると、次のハードルが待っているわけですから、短期決戦として臨むのではなく、長期的な視点で人生を考えながら、モチベーションを保っていくことが大切です。

 

医学の世界は、日進月歩です。特に、人工知能などの技術革新が急速に進む現代は、医療をとりまく環境や事情も、日々変化しています。コロナ禍のような、未曾有の事態が今後再び起こる可能性も、否定できないでしょう。医師になる人材には、こうした環境の変化に常に向き合い、自分自身について内省し、ポジティブに進歩し続ける力が求められているのかもしれません。

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