マネーガイド
2017.03.06
【医学部進学マネーガイド/STEP1】まずは学費の総額をチェック!
※本記事は『日経BPムック2017/日経メディカル「医学部進学ガイド」 』(2016年10月発売)に掲載されたものです。
学費等の費用・制度については、改訂が行われている可能性がありますので、各校のホームページで最新情報をご確認ください。
豊富な支援制度を賢く活用!
医学部進学のための マネーガイド
「医学部に進学させてあげたいけれど、うちにはおカネがないから……」と、わが子の医学部進学を諦めてしまっている家庭も多いのではないしょうか。実は医師不足問題を解決しようと、地方自治体などがさまざまな形で医学部生を支援する制度を設けており、工夫次第で医学部入学から卒業までの自己負担金を軽減する方法があります。「医師になる」という夢を叶えるための資金づくりを一緒に考えてみましょう。
まずは学費の総額をチェック!
国公立大は6年で約350万円
私立大は2000万〜4500万円
医学部の入学金や授業料が高いことはよく知られています。私立大医学部の場合、6年間で/約2000~4500万円で、一般的なサラリーマン家庭にとってはかなりハードルが高いといえます。
国公立大の医学部なら6年間で約350万円と格安ですが、その分、受験競争は激烈。狭き門をくぐり抜けるには、中学から専門の進学塾に通い、ライバルに先んじるための先行投資が必要になります。
実家から通えない地域の医学部に進学すると生活費もかかります。医学部は6年間在籍するので単純計算で生活費も1.5倍。医学部では進学してからも勉強漬けの毎日が続くので、アルバイトをする時間はあまり確保できないため、生活費の大部分は親からの仕送りに頼らざるを得ません。その分も含めると、医学部の6年間では5000万円近くおカネがかかる可能性もあります。
中学からオール私立なら
最大5500万円以上に
中学から大学医学部まですべて国公立に進学した場合、中学と高校の学費は原則無料ですが(高校の授業料は所得次第で有料)、進学塾に通うと中高の6年間で最低でも150万円以上。これに中学・高校の授業料・大学医学部の学費を合わせると約617万円。実家から通えない地域の大学に進学すると生活費が上乗せされ、仕送りが月10万円、6年間で720万円だとすると、総費用は約1337万円です。
一方、中学から大学医学部まですべて私立の場合、私立中高に進学して私立大医学部に合格したとすると、中学受験のための塾費用のほか、中高6年間の学費総額を加え約529万円。これに医学部進学のための通塾費と私立大医学部の学費を加えると約2700万円。一般家庭では相当な貯蓄と倹約が強いられます。
実質負担額を大幅に軽減!
自治、産業医大の“修学資金貸与制度
私立大には学費の実質負担額を大幅に軽減する制度がある。例えば、入学者全員に必ず学生納付金相当額を貸与する「修学資金貸与制度」を整備しているのが自治医科大学(下表※2)だ。卒業後、直ちに第1次試験の試験地の都道府県知事が指定する医療機関に医師として勤務し、その勤務期間が修学資金貸与期間の1.5倍に達した場合、貸与を受けた修学資金の返還が免除されるため、実質負担額が0円となる。
一方、産業医の資格が取得できる産業医科大学医学部(下表※4)の場合、「医学部修学資金貸与制度」を利用すると、6年間で最高1,919万3,200円が貸与され、実質負担額は1,129万6,800円と、1/3程度に軽減できる。卒業後に産業医など返還免除対象職務に就き、その勤務期間が貸与を受けた期間の1.5倍に達すると、全額が返還免除となる。
ただし、いずれの制度も、卒業後に所定の条件を満たさなければ返済義務が発生する。
表1 ◆医学部進学のための費用例
CASE1 中学校・高校ともに私立の場合
私立中学校の教育費(3年間) | ¥3,081,191 |
---|---|
私立高校の教育費(3年間) | ¥2,204,493 |
私立中学生の学校外活動費(3年間) | ¥936,112 |
私立高校生の学校外活動費(3年間) | ¥769,299 |
私立大医学部の学費 | ¥20,000,000~ |
合計 | ¥26,991,095~ |
CASE2 中学校・高校ともに国公立の場合
公立中学校の教育費(3年間) | ¥502,719 |
---|---|
公立高校の教育費(3年間) | ¥723,272 |
公立中学生の学校外活動費(3年間) | ¥942,105 |
公立高校生の学校外活動費(3年間) | ¥503,551 |
国公立大医学部の学費 | ¥3,500,000 |
合計 | ¥6,171,647 |
◆大学生の一人暮らしにかかる費用(年額)
収入 | 家庭からの給付 | ¥1,454,500 |
---|---|---|
奨学金 | ¥423,700 | |
アルバイト | ¥287,900 | |
その他 | ¥503,551 | |
収入合計 | ¥3,500,000 |
生活費 | 住居・光熱費 | ¥447,900 |
---|---|---|
食費 | ¥263,700 | |
保健衛生費 | ¥36,500 | |
娯楽・嗜好費 | ¥141,200 | |
その他 | ¥149,700 | |
生活費合計 | ¥1,039,000 |
◆私立大医学部・学納金総額 ※1
大学名 | 6年間の学納金総額 | 初年度学納金 |
---|---|---|
岩手医科大学 | ¥34,000,000 | ¥9,000,000 |
東北医科薬科大学 | ¥34,000,000 | ¥6,500,000 |
自治医科大学 ※2 |
¥22,600,000 ▼ (¥0) |
¥4,600,000 ▼ (¥0) |
獨協医科大学 | ¥36,600,000 | ¥9,600,000 |
埼玉医科大学 | ¥37,000,000 | ¥8,250,000 |
国際医療福祉大学 ※3 | ¥18,500,000 | ¥4,500,000 |
杏林大学 | ¥37,000,000 | ¥9,500,000 |
慶應義塾大学 | ¥21,759,600 | ¥3,793,350 |
順天堂大学 | ¥20,800,000 | ¥2,900,000 |
昭和大学 | ¥22,000,000 | ¥4,500,000 |
帝京大学 | ¥37,496,000 | ¥8,916,000 |
東京医科大学 | ¥29,400,000 | ¥7,400,000 |
東京慈恵会医科大学 | ¥22,500,000 | ¥3,500,000 |
東京女子医科大学 | ¥32,840,000 | ¥8,800,000 |
東邦大学 | ¥25,800,000 | ¥4,800,000 |
日本大学 | ¥33,100,000 | ¥6,350,000 |
日本医科大学 | ¥27,700,000 | ¥5,450,000 |
北里大学 | ¥38,900,000 | ¥9,000,000 |
聖マリアンナ医科大学 | ¥34,400,000 | ¥6,900,000 |
東海大学 | ¥36,500,000 | ¥6,400,000 |
金沢医科大学 | ¥39,500,000 | ¥11,000,000 |
愛知医科大学 | ¥34,200,000 | ¥8,200,000 |
藤田保健衛生大学 | ¥29,800,000 | ¥6,300,000 |
大阪医科大学 | ¥31,410,000 | ¥6,485,000 |
関西医科大学 | ¥27,700,000 | ¥5,700,000 |
近畿大学 | ¥35,800,000 | ¥6,800,000 |
兵庫医科大学 | ¥37,000,000 | ¥8,500,000 |
川崎医科大学 | ¥45,500,000 | ¥10,500,000 |
久留米大学 | ¥36,200,000 | ¥9,200,000 |
産業医科大学 ※4 |
¥30,490,000 ▼ (¥11,296,800) |
¥5,915,000 ▼ (¥2,117,800) |
福岡大学 | ¥37,578,000 | ¥9,600,000 |
※1 委託徴収金など学納金以外の諸費用は除く
※2、※4 下段は修学資金貸与制度を利用したときの学納金
※3 2017年度に医学部を新設
2016年10月1日確認。各校のホームページを基に算出
詳しくは各校のホームページをご参照ください