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2019.06.28

【医師の仕事・環境を知ろう!】政府が取り組む医師の「働き方改革」

※本記事は『日経MOOK/「医学部に行く!」と決めたらまず読む本 』(2018年10月発売)に掲載されたものです。

~ 医師の仕事を知る、大学を知る ~

 医師とひと口に言っても、その専門分野は多岐にわたっており、取り扱う疾患や必要とされている資質・スキルもさまざまです。また、その医師を養成する大学の対応によっていろいろな特徴や強みがあり、そのことが医師としての専門分野選択に影響を与えることも。ここでは、医学部志望者として知っておきたい医師の仕事の中身や労働環境、そして、大学選びのポイントを解説します。

《Study2》:政府が取り組む 医師の「働き方改革」

 「働き方改革」が叫ばれ、さまざまな業界で仕事と生活を調和させる「ワーク・ライフ・バランス」実現に向けた取り組みが行われています。医師の長時間労働については、他職種と比較しても抜きん出た実態があり、政府は有識者や専門家などで組織される検討会を開き、医師の働き方にメスを入れています。

慢性化する医師の長時間労働 改善すべく政府は検討会を組織

自己の健康と幸福感を得るための働き方改革

医師のイメージ画像:働き方改革

 働く人がよりよい将来の展望をもつことをめざした、働き方改革が始まっています。長時間労働は健康を害するだけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の要因や女性のキャリア形成、男性の家庭参加を阻む障壁にもなりうるという理由からです。
長時間労働は社会の構造的な問題であり、雇用主と従業員が先頭に立ち、働き方の根本にある長時間労働の文化を変えることが強く期待されています。働き方改革は自分の健康を守るだけでなく、自己の趣味の時間・家族との時間などをつくることで、幸福な人生を送るための取り組みと言えます。

長時間労働が慢性化する 医師の労働環境の実態

 昼夜問わず訪れる患者の対応を求められる医師の仕事は、他職種と比較しても突出した長時間労働の実態があります。さらに、日進月歩の医療技術、より質の高い医療に対するニーズの高まり、患者への丁寧できめ細かな対応が求められる業務の特性などにより、長時間労働が慢性化していると考えられます。時間外の患者に対応するために、当直医による対応だけでなく、ほかの医師が呼び出しを受けて対応するケースもあります。また、患者やその家族の求めに応じ、診療時間外や休日に病状や診療方針等の説明を行うこともあります。
これらはすべて、「患者のために」「日本の医療水準の向上のために」が積み重なった結果であり、こうした崇高な理念によって、日本の医療が支えられてきたことも現実です。とはいえ、医師の健康や幸福がないがしろにされては本末転倒です。これからも質の高い医療を確保し続けるには、医師の労働環境の質を高めていくことが欠かせません。

労働時間短縮などに向けた緊急的な取り組みを提起

政府関係者のイメージ:医師の働き方改革

 こうした現状を受けて、厚生労働省が主体となり、有識者や専門家による「医師の働き方改革に関する検討会」が組織されました。この会議は長時間労働短縮だけでなく、医療の質・安全の向上のために、これまでとは異なる新しい働き方を生み出していくこと、そして、若手医師のキャリア形成を応援できる勤務環境を整えていくことを目的としています。
議論は2017年8月より行われており、2018年2月には「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」が公表されました。その内容は次のとおりです。

①医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み

まずは医師の在院時間について、客観的な把握を行うことです。労働時間短縮に向けた取り組みを行ううえでは実態を把握することが重要であることから、ICカード、タイムカードなどが導入されていない場合でも、出退勤時間の記録を上司が確認するなど、在院時間を的確に把握することが求められています。

②36協定などの自己点検

労働基準法第36条を根拠とした、時間外・休日労働に関する協定届のことを「36(サブロク)協定」と言います。そのルールにのっとらず、また、36協定に定められた時間数を超えて時間外労働をさせていないかを確認する必要があります。また、医師を含む医療従事者とともに、36協定で定める時間外労働時間数について自己点検を行い、業務の必要性を踏まえ、長時間労働とならないよう、必要と状況に応じて見直しを行うことと記されています。

③既存の産業保健のしくみの活用

労働安全衛生法にある衛生委員会や産業医など、既存の産業保健のしくみが設置されていても十分に活用されていない実態があります。これらのしくみの活用を図り、長時間勤務となっている医師、診療科ごとに対応方策について個別に議論をすることが求められています。

④タスク・シフティング(業務の移管)の推進

各医療機関においては、医師の業務負担軽減のため、次の業務について、他職種へのタスク・シフティングを推進しています。
 ○初療時の予診
 ○検査手順の説明や入院の説明
 ○薬の説明や服薬の指導
 ○静脈採血
 ○静脈注射
 ○静脈ラインの確保
 ○尿道カテーテルの留置(患者の性別を問わない)
 ○診断書等の代行入力
 ○患者の移動
これらは「平成19年通知」(※)などの趣旨を踏まえ、医療安全に留意しつつ、原則医師以外の職種により分担して実施することで、医師の負担を軽減することが可能となります。

⑤女性医師等に対する支援

医師が出産・育児、介護などのために、仕事に従事することやキャリア形成を阻まれることがないよう、各医療機関で短時間勤務などの多様で柔軟な働き方を推進するなど、きめ細やかな対策を進めることも盛り込まれています。

⑥医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み

①~⑤については、勤務医を雇用するすべての医療機関において取り組むことを基本としていますが、これ以外にも、各医療機関の置かれた状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組みがあります。
 ○勤務時間外に緊急でない患者の病状説明などの対応を行わないこと
 ○当直明けの勤務負担の緩和(連続勤務時間数を考慮した退勤時刻の設定)
 ○勤務間インターバルや完全休日の設定 など

以上の内容を、検討会は2018年3月に、都道府県および医療関係団体などへ周知依頼しました。また、7月には四病院団体協議会、全国自治体病院協議会等を対象に実施状況を調査。結果は26.8%が「実施した」と答え、「今後実施を予定」が33・7%、「未定」が37.5%、「未回答」は2.0%でした。まだまだ改善の余地はあり、検討会はさらなるフォローアップをし、2019年3月にはとりまとめを公表する予定です。

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