医師の仕事
2019.06.28
【医師の仕事・環境を知ろう!】診療科の中身を徹底分析!その2
※本記事は『日経MOOK/「医学部に行く!」と決めたらまず読む本 』(2018年10月発売)に掲載されたものです。
《Study1》:診療科の中身を徹底分析!その2
ここからは、診療科の中身を徹底分析!その1で紹介した内科・外科以外の診療科の中から、特に身近なものや特徴的なものを紹介・解説します。
■ 小児科
0歳から15歳くらいまでの子どもの病気を総合的に扱う。部位ではなく、新生児・乳児・幼児など、月年齢で科を設けているのは発達期に応じた治療の専門的知識が必要なため。対象年齢以後も小児科特有の慢性疾患を有している場合、その疾患に関して小児科で扱われることも多い。身体の発育だけでなく、子どもは精神的・心理的に未完成であり、そういった部分にも注意が必要となる。
・医師数:16,937人
・最多年齢層:30~39歳
・男性:65.7%
・女性:34.3%
■ 整形外科
運動器官を構成する骨や関節、筋肉、じん帯などの治療を行い、スポーツ障害に対応することもある。場合により、リウマチ科や形成外科などと連携して治療にあたる。脊椎、骨盤、肩、肘、膝、手足の指など対象は幅広く、その症状も多様。治療の必要な患者の層も新生児、小児、学童から成人、高齢者までと多岐にわたるので、患者数、医師数ともに多い。
・医師数:21,293人
・最多年齢層:50~59歳
・男性:95.1%
・女性:4.9%
■ 眼科
眼球、視神経、視機能など、視覚に関する疾患を診断し、治療を行う。コンタクトレンズの処方や花粉症への対処など、生活に密着した診療だけでなく、白内障や網膜剥離などの手術も行う。眼は脳の出先器官と言われるほど非常に複雑な臓器であり、専門分野も細分化されているため、眼科医の資格取得後はさまざまな分野のスペシャリストをめざすことができる。
・医師数:13,144人
・最多年齢層:40~49歳
・男性:61.7%
・女性:38.3%
■ 精神科・心療内科
精神科では、うつ病、統合失調症、摂食障害など、心が原因で生じる疾患に、薬物療法、心理療法、行動療法などで対処する。ストレスによる胃潰瘍や強い動悸など身体的疾患をともなうものは心療内科の領域。身体的な症状の改善を図るため内科医が担当したり、症状が身体と精神の両方の領域にまたがっていることが多いため、精神科医が担当することもある。
・医師数:16,519人
・最多年齢層:40~49歳
・男性:77.3%
・女性:22.7%
■ 産婦人科
妊娠中の検診や出産の介助、産後のケアなどを扱う産科と、子宮や卵巣など女性生殖器に関する疾患、更年期障害や生理不順など女性特有の疾患を取り扱う婦人科を統合した医療分野。帝王切開や子宮筋腫などの手術も行う。昨今の多様なライフスタイルに合わせ、オーダーメイドの治療や分娩を行う病院・診療所も存在する。女性医師が診察するレディースクリニックも注目を浴びている。
・医師数:10,854人
・最多年齢層:40~49歳
・男性:64.2%
・女性:35.8%
■ 耳鼻咽喉科
中耳炎、めまい(メニエール病など)、難聴などの耳の疾患や、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(蓄のう症など)などの鼻の疾患、咽頭炎、声帯ポリープなどの喉の疾患を診療する。脳より下の頭部、首より上の頸部にできるさまざまな病気が守備範囲であり、耳・鼻・喉以外にも、頭・顔・首の疾患に対しても治療を行う。特に、この範囲の手術を行う専門分野を頭頸部外科と呼ぶ。
・医師数:9,272人
・最多年齢層:50~59歳
・男性:78.7%
・女性:21.3%
■ 放射線科
画像診断部門と放射線治療部門に分けられる。前者はX線、CT、MRIなどの画像を読み取り、診断結果を担当医に報告する。現在の医療は画像診断なくして成り立たず、精密な画像診断は医療の質を保証する第一歩となる。後者は臓器温存をめざすピンポイント治療から、血管内治療であるIVRによる進行がんの治療まで、がん細胞に放射線を使い、患者の負担が小さい治療を実施する。
・医師数:6,587人
・最多年齢層:30~39歳
・男性:75.4%
・女性:24.6%
■ リハビリテーション科
リハビリテーションは“再び適応する”という意味の言葉を語源としている。いかに日常生活を取り戻すかが治療の主眼となり、後遺症や慢性疾患などにより運動機能に障害が生じた患者に対して医学的治療を施し、治療的訓練をサポートする。治療手段としては、運動、物理、作業、言語、薬物などがあり、患者に合わせたオーダーメイドのリハビリテーションを行う医療施設もある。
・医師数:2,484人
・最多年齢層:50~59歳
・男性:77.4%
・女性:22.6%