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2018.07.04

【埼玉医科大学】基本的臨床能力を確実に身につけ地域医療に貢献できる医師を養成

1972年の設立以来、4000名を超す卒業生を送り出し、その99.0%を医師国家試験に合格させている埼玉医科大学。高度医療はもちろん、地域の基幹病院としての機能をも備えた大学病院で、学生はプライマリーケア能力を十分に身につけて巣立っている。同大の教育理念や、教育の特色などについて、別所正美学長に伺った。

病院を母体として設立。優れた臨床医を育成

─建学の理念や教育方針についてお聞かせください。

※本記事は『日経メディカル/日経ビジネス/日経トップリーダー 特別版 SUMMER.2018年6月〈メディカルストーリー 入試特別号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。

別所 建学の理念は、本学が設立された経緯が強く影響しています。本学の母体となった毛呂病院は、1892(明治25)年に設立された、埼玉県唯一の精神科の病院でした。しかし、1947(昭和22)年、当時の鉄道史上最悪の脱線転覆事故への対応を契機として、総合病院へと転換していきました。そして、昭和40年代の一県一医大構想のなかで、本学が設置されることになったのです。
 こうした経緯から、本学では、建学の理念の第1として「生命への深い愛情と理解と奉仕に生きるすぐれた実地臨床医家の育成」を掲げています。第2、第3は、能動的な学習者の育成と、師弟同行の学風の育成を謳っていますが、最初に「実地臨床医家」の文言を持ってきていることからもわかるように、本学では、救急医療や災害医療にも対応できる、しっかりとした臨床能力を身につけた医師の育成に、何よりも力を入れています。
 また、社会福祉にも力を入れています。本学の法人内で重度心身障害の方々を受け入れる施設も設けており、障害を抱えた患者さんにも対応できるような教育を行っています。

地域医療の最後の砦。断らない診療を展開

─地域医療には、どのように取り組んでいますか。

別所 設立の経緯からもわかるように、本学は地域医療に積極的に関わっています。大学病院のモットーは「断らない診療」であり、どの病院にも受け入れられなかった患者さんも受け入れています。埼玉県の「搬送困難事案受入医療機関支援事業」に協力し、県内の救急車が搬送先を見つけられないときに受け入れる病院にも指定されています。
 地域医療では、周辺の医療機関との連携が重要になります。そのため、連携施設との情報交換会を年に2回開催し、周辺の医療機関との連携を図っています。川越キャンパスの総合医療センターや、日高キャンパスの国際医療センターでも、地域の医師会との間で、連携の強化を図っています。

─学生が地域医療を学ぶ機会も多いのでしょうか。

別所 6年次のクリニカル・クラークシップ(臨床実習)の中で、必ず地域の医療機関で実習を行うことになっています。地域のクリニックで在宅医療や訪問診療に携わったり、地域の基幹病院で救急医療や外来を担当したりしながら、全員が地域医療の実態に触れることになっています。
 また、本学の大学病院は地域医療の基幹病院として位置付けられていることもあり、時間外診療も行っています。そこには一般の大学病院では診る機会が少ない、確定診断のついていない患者さんも訪れます。そのため、学生は、高度医療だけでなく、一般的な症状の診療に関しても幅広く学ぶことができます。

医学教育の国際化は地域医療の充実に貢献

─医療界のグローバル化には、どのように対応されていますか。

別所 医療の国際化については、日高キャンパスの国際医療センターが中心となって進めています。国際的な医療を行っている病院の認証評価であるJCIの認証を取得していますし、外国人の患者さんを診る病院としてJMIPの認証も受けています。
 一方、教育面においては、7カ国10大学との間で交換留学協定を締結しており、20数年間、毎年20名の学生を1ヵ月間の海外臨床実習に送り出しています。提携先を増やす予定で、派遣規模も拡大していきます。

─日本では、現在、医学教育のグローバル化も急速に進んでいますね。

別所 本学を含め、日本中の医学部が、医学教育の国際認証を取得すべく、カリキュラム改革を進めています。具体的には、日本医学教育評価機構(JACME)の認証を取得することで、国際基準の医学教育を行っていると認定されるわけですが、その基準は、高度医療に関するものではありません。
 医学部卒業時点で、卒後臨床研修にスムーズに進むことができるレベルのプライマリーケアがきちんとできる能力、すなわち基本的な臨床能力を身につけることのできるカリキュラムが整備されているかが、重要なポイントの一つです。したがって、本学が力を入れている地域医療と、医学教育のグローバル化は、相反するものではなく、むしろ全く同じ方向を向いていると言っても過言ではありません。

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本気で医師を目指す心と主体的な学習姿勢が必須

─どのような高校生に入学してほしいと考えていますか。

別所 国際基準の医学教育が求めるのは、基本的な臨床能力の習得です。そのため、カリキュラムでも患者さんと接する機会が増え、診療参加型の臨床実習の期間も従来より長くなります。当然、座学の時間は圧縮されますが、身につけるべき医学知識はどんどん増えています。そのため、講義に頼るのではなく、自ら進んで勉強する姿勢を持った学生でなければ、医学部の勉強について来られなくなっています。ですから、医師になるという強固な意志を持ち、主体的な学習姿勢を身につけた高校生に入学してほしいと願っています。

─入学試験では、学力だけでなく、そうした能力をも確認しているのですか。

別所 もちろんです。ただ、受験時点で、それを見極めるのは非常に困難です。大学での学業成績は、入学試験における学力試験の点数との間にほとんど相関はありませんが、面接試験との間には緩やかな相関が認められます。ですから、本学では面接試験を非常に重視しており、医師になる覚悟と適性、そして勉強し続ける姿勢を持っているかどうかを見極める努力を続けています。

医師の仕事には 研究の道もある

─医学部を目指す受験生に何かアドバイスをいただけますか。

別所 医師は、勉強さえできればいいというものではありません。ハンディのある人たちに思いを馳せたり、共感したりできる資質をベースにしながら、仲間と共に問題を解決していける能力が必要です。現在の医療は、ソーシャルワーカーや薬剤師、理学療法士、栄養士などとチームを組んで、患者さんやその家族を支えていかなくてはなりませんから、多職種と連携できる能力も求められます。
 そうした能力を身につけるには、いろいろな人たちとの接触が大切です。地域のイベントやボランティア活動などを通して、様々な人と接する努力をしてください。本学の面接試験では、そうした活動を実際にしてきたかどうかも、しっかり確認しています。また、できるだけ本を読むようにしてください。

─最後に、医学部受験生の保護者へのメッセージをお願いします。

別所 勉強が出来るという理由だけで、医学部を選ぶと、入学後にミスマッチが生じやすいと感じています。現在の医学教育は、強いモチベーションがないと勉強を続けることが困難だからです。保護者、受験生にお願いしたいのは、医師がすばらしい職業であることを理解した上で、志を持って医学部を目指してもらいたいと思います。
 なお、医師には研究の道に進む選択肢もあります。本学にも「研究医養成プログラム」があり、医学の研究をしたい学生も受け入れています。医学部を出た先には、臨床医だけでなく、研究医を目指す道もあることも覚えておいていただければと思います。


埼玉医科大学

本部所在地:埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
設立:1972年
定員:129名

単に医学知識・技術に優れているだけでなく、高い倫理観と人間性を備えた臨床医を育成するのが目標。6年一貫の統合カリキュラムを採用。医学の基礎となる知識と概念を修得するリベラルアーツを含む科目、医学に関する知識の習得と概念を理解する科目、医学を実践する力を養成する科目、質の高い医療を社会で実践するための態度と技能を養成する科目などがバランスよく配置されている。

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